
会社を退職した後、国民年金はいくら払うことになるのでしょうか。
FIREやサイドFIREを考えていると、どうしても「生活費をいくら用意するか」に目が向きますよね。
私もそうです。50歳になった今、老後資金はもちろん気になります。でも、子どもはまだ小学生です。中学から私立へ進む可能性も考えると、今いちばん目の前で気になるのは教育費だったりします。
そんな状況で退職を考えるなら、毎月の生活費だけではなく、退職後に自分で払うお金も先に見ておかないといけません。
国民年金も、その一つです。
会社員の間は、厚生年金保険料が給与から引かれています。自分で納付書を持って支払うわけではないので、退職後に国民年金へ切り替わったときの負担は、少し見えにくいんですよね。
2026年度の国民年金保険料は、1人あたり月17,920円、年間では215,040円です。
さらに、会社員である本人に扶養されていた配偶者も、本人の退職によって国民年金の第3号被保険者ではなくなる可能性があります。夫婦とも第1号被保険者になれば、単純計算で年間430,080円です。
数字にすると、けっこう大きくないですか?
しかも、これは健康保険料や住民税とは別です。
先に結論を言うと、退職後の国民年金で確認したいのは次の3つです。
- 退職後、自分と配偶者が第1号・第3号のどちらになるか
- 夫婦分を含めて、年間いくら必要になるか
- 支払いが難しい場合に、未納ではなく免除を申請できるか
退職後の国民年金は、本人分だけを見て終わりにせず、配偶者分とほかの退職後負担まで一緒に確認しておくことが大切です。
今回は、FIREを考える50歳家庭持ちの私が、退職後の国民年金について今のうちに確認しておきたいことを、できるだけ分かりやすく整理します。
※国民年金保険料や年金額は年度ごとに改定されます。加入区分、免除の可否、必要書類などは、本人・配偶者の状況によって変わります。実際に退職する際は、日本年金機構、市区町村、配偶者の勤務先などへ確認してください。
50歳で退職したら国民年金はいくら払う?
まずは、いちばん気になる金額から見てみましょう。
日本年金機構の国民年金保険料の案内によると、2026年度の国民年金保険料は月額17,920円です。
1年間払うと、次の金額になります。
17,920円 × 12カ月 = 215,040円
月額だけを見ると、「何とか払えそう」と感じるかもしれません。
でも、年間で見ると21万円を超えます。退職後に給与収入が減ることを考えると、なかなか軽い金額ではありませんよね。
本人だけなら年間215,040円、夫婦なら430,080円
退職後の加入状況ごとの負担を、ざっくり比べるとこうなります。
| 退職後の状況 | 月額の目安 | 年額の目安 |
|---|---|---|
| 本人のみ第1号になる | 17,920円 | 215,040円 |
| 夫婦とも第1号になる | 35,840円 | 430,080円 |
| 厚生年金に加入する配偶者の扶養へ入り、第3号になる | 本人による国民年金保険料の納付なし | 本人による国民年金保険料の納付なし |

夫婦で年間約43万円。
これ、FIRE後の年間生活費へ入れ忘れると、けっこう痛いです。
たとえば、月25万円で暮らせると考えて年間生活費を300万円に置いていても、国民年金の夫婦分を入れていなければ、それだけで計画が40万円以上ずれます。
退職後には、健康保険料や住民税もかかります。国民年金だけで資金計画を終わらせず、退職後の健康保険と退職後の住民税も別に試算しておきたいところです。
国民年金保険料は毎年度変わる
2026年度の月額は17,920円ですが、この金額がずっと続くわけではありません。
国民年金保険料は年度ごとに改定されます。FIRE計画を作るときに、現在の金額だけを60歳まで固定して計算すると、実際の負担とずれる可能性があります。
私なら、まず現在の保険料で概算し、そのうえで少し余裕を持たせます。
正確な未来の金額を当てるのは無理です。それよりも、「保険料が上がっても慌てない余白」を作っておく方が現実的だと思っています。
退職後は国民年金の第1号へ切り替えるのが基本
会社員が退職し、すぐに次の会社へ就職せず、自営業や無職になる場合は、基本的に国民年金の第1号被保険者へ切り替えます。
ここで「第1号って何?」となりますよね。
年金の加入区分を、かなりざっくり分けると次のようになります。
| 区分 | 主な対象 | 保険料の払い方 |
|---|---|---|
| 第1号被保険者 | 自営業者、学生、無職の人など | 自分で国民年金保険料を納める |
| 第2号被保険者 | 会社員、公務員など | 厚生年金保険料を給与などから納める |
| 第3号被保険者 | 第2号被保険者に扶養される配偶者 | 自分で国民年金保険料を納める必要はない |
会社員として働いている間は、第2号被保険者です。
退職して厚生年金から外れ、配偶者の扶養にも入らない場合は、第1号被保険者になります。
一方で、退職した本人が、厚生年金に加入している配偶者の扶養に入れる場合は、第3号被保険者になる可能性があります。その場合は、自分で国民年金保険料を納める必要はありません。
「退職したら必ず国民年金を自分で払う」とは限りません。まず、退職後にどの加入区分になるかを確認する必要があります。
制度の言葉は少しややこしいですが、見るべきことはシンプルです。
「退職後も厚生年金に入るのか」
「厚生年金に入る配偶者の扶養へ入るのか」
「どちらでもなければ第1号になるのか」
この順番で考えると、だいぶ分かりやすくなります。
仕事量を抑えながら厚生年金へ加入できる働き方なら、完全リタイアとは負担が変わります。50代のサイドFIREという選択肢も含めて比べると、自分に合う進み方を考えやすくなりそうです。
扶養している配偶者の国民年金も忘れたくない
退職後の国民年金で、私が特に見落としたくないのが配偶者分です。
会社員本人に扶養されている配偶者は、国民年金の第3号被保険者になっていることがあります。
ところが、本人が退職して厚生年金の資格を失うと、扶養されていた配偶者も第3号被保険者ではなくなる可能性があります。
その場合、配偶者も第1号被保険者への切替手続きを行い、自分で国民年金保険料を納めることになります。
本人分だけ年間約21.5万円と見積もっていたのに、実際には夫婦で年間約43万円になる。
この差は大きいですよね。
退職後の国民年金を計算するときは、本人分だけでなく、扶養配偶者の加入区分も必ず確認したいです。
わが家では妻と日頃からお金の話をしています。それでも、退職前には「夫婦それぞれの加入区分」「夫婦とも第1号になる場合の支払額」「今後の働き方」を具体的に確認するつもりです。家庭持ちのFIREは、自分だけの問題ではありませんよね。
退職後14日以内に国民年金の切替手続きをする
退職後に第1号被保険者になる場合は、国民年金への切替手続きが必要です。
日本年金機構の案内では、提出期限は退職日の翌日から14日以内とされています。
退職後は、健康保険の手続き、離職票の確認、会社から返却・受領する書類など、やることが重なります。
「年金は後でいいか」と思いたくなる気持ち、分かります。
ただ、後回しにすると加入記録や納付の確認が面倒になりそうです。できれば、健康保険の手続きと同じ時期にまとめて動きたいところです。
手続き先と必要なもの
第1号被保険者への切替手続きは、住所地の市区町村窓口で行えます。マイナポータルを利用した電子申請も案内されています。
一般的に確認しておきたいものは次のとおりです。
- 基礎年金番号が分かるもの
- マイナンバーカードなどの本人確認書類
- 退職日や厚生年金の資格喪失日を確認できる書類
- 配偶者も切り替える場合は、配偶者に関する必要書類
必要書類は状況や窓口によって異なる可能性があります。退職前に市区町村へ確認しておくと安心です。
なお、国民年金と健康保険は別の手続きです。退職後にまとめて確認できるよう、必要書類と手続き先を一覧にしておくと安心です。
払うのが難しいなら、未納にせず免除を申請する
退職後に国民年金保険料を払うのが難しい場合は、未納のまま放置するのではなく、免除制度を確認します。
ここはかなり大事です。
「今は払えないから、そのままにしておこう」と考えたくなるかもしれません。でも、未納と免除は同じではありません。
免除と納付猶予は別の制度
日本年金機構の免除制度・納付猶予制度の案内では、本人が申請し、承認されると、保険料の全額または一部が免除される制度が案内されています。
違いをざっくり見ると、次のようになります。
| 状態 | 主な内容 | 老齢基礎年金額への反映 |
|---|---|---|
| 全額納付 | 保険料を全額払う | 全額反映 |
| 全額免除 | 申請・審査を受け、全額免除 | 全額納付時の2分の1が反映 |
| 一部免除 | 一部を納め、残りが免除 | 免除割合に応じて反映 |
| 納付猶予 | 支払いを猶予 | 追納しなければ年金額に反映されない |
| 未納 | 申請せず、納めていない | 原則として反映されない |

ここで、50歳の私が注意したいことがあります。
納付猶予制度の対象は20歳以上50歳未満です。50歳になった人は、原則として納付猶予ではなく、免除制度を確認します。
「退職して収入が減ったから、納付猶予を使えばいい」と思っていたら、年齢条件で対象外だった。これは避けたいですよね。
退職すれば必ず免除されるわけではない
失業などを理由とした特例免除では、失業した本人の前年所得にかかわらず審査を受けられる場合があります。
ただし、退職すれば自動的に免除されるわけではありません。
免除制度では、本人だけでなく、世帯主や配偶者の所得なども審査に影響します。申請して、承認されて初めて免除になります。
ここは期待しすぎない方がよさそうです。
私ならFIRE計画を作る時点では、まず国民年金を払う前提で資金を置きます。そのうえで、実際に収入が大きく減り、条件に当てはまりそうなら免除を相談します。
免除を最初から前提にして資金計画を作るのは、少し怖いです。
免除された期間は10年以内なら追納できる
免除や納付猶予の承認を受けた期間は、10年以内であれば、後から保険料を納める追納ができます。
退職直後は現金を守り、収入が安定してから追納するという考え方もできます。
ただし、追納する時期によっては加算額が上乗せされます。また、追納できる期限もあります。
「今は払わない」と「一生払わない」は別です。
この違いを知っているだけでも、退職直後の選択肢は増えると思います。
免除と未納では、将来の年金への影響が違う
国民年金保険料を払わなかった場合、将来の年金が減ることは何となく分かります。
でも、免除と未納で何が違うのかは、少し分かりにくいですよね。
一方、未納の期間は、原則として老齢基礎年金額へ反映されません。受給資格期間にも含まれません。
さらに、未納があると、病気やけがで障害が残った場合の障害基礎年金や、死亡した場合の遺族基礎年金を受け取れない可能性があります。
払えないときこそ、何もしないのではなく、免除を申請する意味があります。
50歳から60歳まで未納だと、どのくらい影響する?
2026年度の老齢基礎年金の満額は、昭和31年4月2日以後生まれの人の場合、年額847,300円です。
老齢基礎年金の満額は、原則として40年分の納付などを基準に計算されます。
仮に、50歳から60歳までの10年間をすべて未納にしたとすると、単純計算では40年のうち10年、つまり4分の1が年金額へ反映されないことになります。
現在の満額を使った単純な概算では、年額で約21万円分です。
847,300円 × 10年 ÷ 40年 = 約211,825円
これはあくまで現在の金額を使った概算です。実際の受給額は加入記録や将来の改定で変わります。
それでも、毎年約21万円の差が老後に続く可能性を考えると、かなり大きいですよね。
一方で、全額免除なら、その期間について全額納付時の2分の1が反映されます。
免除と未納は、目先の支払いがない点だけを見ると同じに見えます。でも、将来への影響は同じではありません。
ねんきんネットで自分の記録を確認する
年金は、一般的な計算だけで考えても正確な答えは出ません。
これまで何カ月納めたか、厚生年金へどのくらい加入したか、免除期間があるかで、見込額が変わります。
そこで使いたいのが「ねんきんネット」です。
ねんきんネットでは、自分の年金記録や見込額を確認できます。条件を変えて将来の年金額を試算する機能もあります。
FIREを考えるなら、「退職後の生活費はいくらか」だけではなく、「将来の年金収入はいくらになりそうか」も見たいところです。
私はまず、50歳で退職した場合、55歳まで働いた場合、60歳まで働いた場合を比べてみたいです。
漠然と不安なまま考えるより、選択肢ごとの差が見えやすくなります。
前納と付加年金は、手元資金を見て決めたい
国民年金の第1号被保険者になると、保険料を毎月払う以外にも、前納や付加年金という選択肢があります。
どちらも魅力はあります。
ただ、FIRE直後は現金を手元に残すことも大事です。お得かどうかだけで決めず、自分の資金状況と合わせて考えたいですよね。
前納は割引と払い忘れ防止になる
国民年金保険料は、一定期間分をまとめて前払いすると割引されます。
2026年度の口座振替による前納額は、次のように案内されています。
| 前納方法 | 納付額 | 毎月納付と比べた割引額 |
|---|---|---|
| 6カ月前納 | 106,300円 | 1,220円 |
| 1年前納 | 210,530円 | 4,510円 |
| 2年前納 | 417,150円 | 17,370円 |
前納の良さは、割引だけではありません。
退職後に毎月の支払いを気にしなくてよくなり、払い忘れも防げます。これは地味に助かりそうです。
一方で、まとまった現金が一度に出ていきます。
私なら、割引額だけで飛びつかず、退職後1年分の現金余力を確認してから決めます。
数千円の割引を得るために、手元資金がぎりぎりになるのは違いますよね。
付加年金は月400円を上乗せする制度
国民年金の第1号被保険者などは、通常の保険料に月額400円の付加保険料を上乗せできる場合があります。
将来受け取る付加年金額は、次の式で計算されます。
年額200円 × 付加保険料を納めた月数
たとえば、10年間、つまり120カ月納めた場合は、支払う付加保険料が48,000円です。
将来の付加年金額は、年額24,000円になります。
制度上は2年以上受け取ると、納めた付加保険料を上回る計算です。
数字だけを見ると魅力的ですよね。
ただし、免除・納付猶予を受けている人や、国民年金基金の加入員などは利用できません。申出月から始まり、過去へさかのぼって加入することもできません。
付加年金は検討する価値がありますが、「誰でも必ず得」と決めつけず、加入条件と自分の資金状況を確認したいです。
60歳までに足りない期間は任意加入も確認する
60歳になった時点で国民年金の納付月数が480月に満たず、老齢基礎年金を増やしたい場合は、任意加入制度を利用できる可能性があります。
任意加入は、日本国内に住む60歳以上65歳未満、納付済期間が480月未満、厚生年金へ加入していないなどの条件を満たす場合に利用できます。ただし、申出月からの加入となり、さかのぼることはできません。
「60歳から任意加入すれば何とかなる」と頼りすぎず、まずは今の加入記録を確認しておきたいです。
FIRE前に国民年金用の別財布を作る
ここまで国民年金の制度を見てきました。
では、FIRE前に実際何をしておけばよいのでしょうか。
私がやりたいのは、国民年金用のお金を生活費と分けて置くことです。
退職後の公的な支払いを全部「生活費」に入れてしまうと、教育費や普段の支出と混ざります。そうなると、退職後に現金が減ったとき、想定内なのか使いすぎなのかが分かりません。
まず1年分を別枠で見てみる
私なら、国民年金、健康保険、住民税、教育費、生活防衛資金を分け、退職後1年分を試算します。これだけでも、FIRE直後に必要な現金がだいぶ見えます。
私の場合、子どもの教育費がこれから増える可能性があります。老後資金も気になりますが、今の家計で急に必要になるのは教育費かもしれません。
だから、国民年金の支払いで教育費用の現金を崩す形にはしたくありません。
FIRE前に確認したい7項目
退職を決める前に、次の順番で確認してみます。
- ねんきんネットで自分の加入記録と見込額を見る
- 退職後、自分が第1号・第3号のどちらになるか確認する
- 扶養配偶者の加入区分が変わるか確認する
- 国民年金の本人分・夫婦分を年間支出へ入れる
- 健康保険と住民税も別に試算する
- 払うのが難しい場合の免除条件を確認する
- 完全リタイア以外の働き方とも比べる
この確認をして、数字が厳しければ、FIREを諦めるしかないのでしょうか。
私はそうは思いません。
退職時期をずらす、支出を見直す、働き方を残すなど、調整できることはあります。先に数字を見るからこそ、無理のない形へ変えられます。
国民年金の確認は派手ではありません。でも、こういう地味な準備がFIRE後の安心につながるんだと思います。
まとめ:退職後の国民年金は、夫婦分まで見ておく
退職後の国民年金について、最後に要点をまとめます。
- 2026年度の国民年金保険料は、1人月17,920円・年215,040円
- 夫婦とも第1号になる場合は、年430,080円
- 第1号への切替手続きは、退職日の翌日から14日以内
- 扶養配偶者も第3号資格を失い、第1号になる可能性がある
- 50歳は納付猶予の対象外なので、払うのが難しい場合は免除を確認する
- 全額免除は年金額へ2分の1反映され、免除期間は10年以内なら追納できる
- 未納放置は、老齢年金だけでなく障害・遺族基礎年金にも影響する可能性がある
- 前納や付加年金は、手元資金と加入条件を見て判断する
- ねんきんネットで自分の加入記録と見込額を確認する
退職後の国民年金は、月額だけを見ると何となく払えそうに感じます。
でも、夫婦分やほかの退職後負担まで並べると、見え方が変わりますよね。
必要なお金を先に知ることは、夢を小さくする話ではありません。自分に合う進み方へ変えるための準備です。
まずは、ねんきんネットで自分の加入記録を確認し、退職後に本人と配偶者がどの加入区分になるかを見てみませんか。
そこまで分かれば、国民年金は「よく分からない不安」ではなく、準備できる支出に変わってくると思います。