50歳からの資産設計

退職金は一時金と年金のどちらで受け取る?50代の私が税金だけでは決めない理由

2026年8月31日

退職金を一時金と年金のどちらで受け取るか考える机上

退職金を一時金でもらうか、年金のように分けてもらうか。選べると分かった瞬間、「結局、どっちが得なの?」と気になりますよね。

税金だけなら一時金が有利に見えます。けれど、まとまったお金を自分で管理する不安もあります。年金形式なら定期収入になりますが、公的年金と重なる時期の手取りも見ておきたいです。

私自身、会社員を辞めるときに怖いのは、毎月の給料がなくなることです。一方で、ある程度まとまった資産が見えると、今度は減らしたくない気持ちも強くなります。退職金の受け取り方は、この二つの気持ちがぶつかるところだと思います。

だから私は、税額の小ささだけで決めません。会社の制度、今後10年の大きな支出、毎年の手取り、そして自分が管理しやすいかを同じ紙に置きます。一時金・年金・併用の順に、現実的に比べていきます。

退職金の受け取り方は、まず「選べる範囲」を確かめる

最初に見たいのは、税金の比較記事ではなく、自分の会社や企業年金から届く案内です。退職金と呼ばれていても、会社から直接出る退職一時金、確定給付企業年金、企業型確定拠出年金など、中身は同じではありません。

一時金だけの制度もあれば、年金だけ、一時金と年金の併用、受取割合を25%刻みで選べる制度もあります。年金形式も、終身とは限りません。5年、10年、15年などの有期年金や、保証期間が付くものもあります。

ここを飛ばして「一時金と年金はどちらが得か」を考えても、自分が選べない案を比べることになります。私なら、次の項目を一枚に書き出します。

確認項目資料で見る場所判断への影響
制度名退職給付・企業年金の案内税務や受取条件の土台
選べる受取方法一時金・年金・併用の欄比較する案を絞る
選択期限申請書、退職手続き日程相談と試算に使える時間
年金の期間・利率年金見込額、規約受取総額と毎年額
保証・死亡時の扱い保証期間、遺族給付家族へ残る金額
選択後の変更可否規約、よくある質問後から変えられるか
制度ごとに条件が違うため、会社または企業年金の案内で確認します。

年金見込額には、まだ受け取っていない資金へ付く予定利率が反映されることがあります。ただし、利率や保証は制度ごとに違います。「年金なら運用してくれるから必ず得」とは言い切れません。

ネットの一般論より先に、自分が加入している制度の受取条件と選択期限を確認します。

これ、地味ですが大事です。期限直前になってから家族へ相談すると、税金の話だけで慌てて決めやすいです。50代のうちに制度名と問い合わせ先だけでも分かれば、退職が近づいたときの迷いが一つ減ります。

一時金は税制が分かりやすいが、受け取った後は自分で守る

退職金を大きな一時金と定期収入に分けて比べる立体図
一時金と年金形式は、税金だけでなく受け取り方と管理の違いも比べます。

退職一時金は、原則として退職所得として扱われます。長年働いた人の税負担が重くなりすぎないよう、退職所得控除があり、給与などとは分けて税額を計算する仕組みです。

退職所得控除は、勤続20年以下なら原則40万円×勤続年数、20年を超える部分は1年につき70万円を加えます。20年以下の控除額には最低80万円があります。障害による退職、短期勤続、役員等には別の扱いがあるため、ここでは一般的な長期勤続の例だけを見ます。

説明用の条件金額
勤続年数35年
退職所得控除800万円+70万円×15年=1,850万円
退職一時金2,000万円
課税退職所得の基礎(2,000万円−1,850万円)×1/2=75万円
一般的な計算を示す例です。75万円は税額ではありません。過去の退職金やDC一時金、勤続期間の重複などで計算は変わります。

一時金は、住宅の修繕、年金開始までの生活費、教育費など、時期が見えている大きな支出へ分けやすいです。退職後の国民健康保険料などを考えるときも、退職所得は給与や年金形式の所得とは扱いが異なります。

ただ、口座へ大きな金額が入った瞬間から、管理は自分の仕事になります。住宅ローンを一気に返す、勧められた金融商品へまとめて入れる、少しだけのつもりで支出を増やす。どれも元に戻しにくい判断です。

私もネットの「上がりそう」という言葉を信じて投資し、下がってから動けなくなった経験があります。退職金のような、やり直しにくいお金では同じことを繰り返したくありません。

一時金で受け取るなら、受取日より前に「すぐ使うお金」「当面触らないお金」「運用を考えるお金」を分けます。

実際に入金された後の分け方は、退職金を運用前に5つの使い道へ分けた記事で詳しく書いています。一時金を選ぶことと、全額をすぐ動かすことは別です。

年金形式は定期収入になるが、毎年の所得として見る

年金形式の魅力は、退職後も定期的にお金が入ることです。まとまった資金を自分で取り崩すより、毎月または毎年の生活費へ充てやすく、使いすぎを防ぎやすいです。

私にとっても、これは税金とは別の安心です。会社員の給料がなくなった後、決まった時期に入金があるだけで、資産残高を毎月削る感覚は小さくなります。資産を減らしたくない気持ちが強い人には、数字以上の価値があると思います。

一方で、企業年金や確定拠出年金を年金として受けると、公的年金等に係る雑所得として扱われる場合があります。公的年金等控除はありますが、老齢基礎年金や老齢厚生年金なども同じ枠で考えます。

さらに、給与や不動産所得など他の所得があれば、所得税・住民税の計算にも関わります。国民健康保険や介護保険の保険料へどう反映されるかは、加入制度、自治体、年齢、他の所得で変わります。

年金形式は「表示された年額」ではなく、公的年金や働く収入を合わせた後の手取りで比べます。

制度の年金見込額が年120万円でも、全額が生活費へ使えるわけではありません。反対に、一時金より受取総額が多く見える制度でも、受給期間中の税・保険料、死亡時の保証を入れると印象が変わります。

数字が複雑で身構えますよね。最初から正確な税額を自分で出さなくても大丈夫です。私は、会社に「年金で受けた場合の年額表はありますか」と聞き、公的年金の見込額と並べます。その二つを持って、会社の相談窓口や税務署、必要なら税理士へ確認します。

iDeCo・企業型DC・過去の退職金は受取時期を一緒に見る

退職金の受け取り方で見落としやすいのが、同じ時期に受け取る別の一時金です。会社の退職一時金だけでなく、企業型DC、iDeCo、転職前の会社で受けた退職金があると、退職所得控除の計算で勤続期間などの重複調整が入る場合があります。

これ、同じ「老後に受け取るお金」なのに、名前と窓口が分かれていてややこしいですよね。私も一つの制度だけなら見られても、受取順まで含めると急に難しく感じます。

2026年1月1日以後に受けたDCの老齢一時金があり、その後に退職手当等を受ける場合、前年以前9年内の受給と勤続期間の重複が調整対象になり得ます。反対に、退職手当等を先に受け、後でDC老齢一時金を受ける場合は、前年以前19年内の退職手当等が関わることがあります。

「10年空ければ大丈夫」「先にこちらを受ければ必ず得」と覚えるだけでは危ないです。受取日、加入期間、勤続期間、過去の一時金額が関わり、重なった年数の扱いも一人ずつ違います。

私なら、受け取り予定を次のように時系列で書きます。

  • 勤務先の退職一時金:受取予定年と勤続期間
  • 確定給付企業年金:一時金・年金・併用の選択
  • 企業型DC:加入期間、受取可能時期、見込額
  • iDeCo:加入期間、受取可能時期、見込額
  • 過去に受けた退職金:受取年、金額、勤続期間
  • 65歳以後の公的年金:受給開始予定と見込額

この一覧があれば、窓口へ相談するときも話が早いです。源泉徴収票や一時金の支払通知は捨てずに残します。転職経験がある人ほど、今の会社の資料だけでは全体が見えないことがあります。

夫婦それぞれに企業年金やiDeCoがあるなら、同じ年表へ二人分を置きます。税金は個人ごとでも、生活費へ入る時期は家計全体へ影響します。片方の一時金で大口支出を確保し、もう片方は年金形式にするなど、世帯で役割を分けられる場合もあります。

複数の退職給付がある人は、一つずつ最適化せず、受取年と加入・勤続期間をまとめて確認します。

税のルールは細かいですし、今後も変わる可能性があります。ここはネットの早見表だけで最終決定せず、最新の国税庁情報と自分の書類で確かめたいです。

私なら「10年の家計表」で一時金・年金・併用を比べる

退職後10年の大口支出と定期収入を時系列で見る立体図
受取方法は、退職後10年の支出と収入へ置いて比べます。

受取方法の違いは、税金の表だけでは決めにくいです。私なら退職予定年から10年間を横に並べ、入るお金と出るお金を書きます。退職直後と65歳以後では、家計の形が変わるからです。

入るお金は、再雇用や小さな仕事の収入、公的年金、企業年金、配当など。出るお金は、生活費に加え、教育費、住宅ローン、家の修繕、車、医療・介護、家族の予定を置きます。

受取案向きやすい状況先に見る弱点
一時金中心退職直後の大口支出と橋渡し資金が大きい使いすぎ、運用失敗、長生き時の取り崩し
年金中心定期収入を厚くし、管理を簡単にしたい税・保険料、受取期間、死亡時の保証
併用近い支出と将来の定期収入を両方持ちたい割合の決め方、制度上選べるか
正解を示す表ではありません。自分の家計へ当てはめる入口です。

たとえば60歳で退職し、公的年金を65歳から受けるなら、最初の5年に生活費の不足が出ます。教育費や住宅ローンも残るなら、その分を一時金で確保し、残りを年金形式にする併用案が考えやすくなります。

逆に、再雇用収入で生活費を賄え、近い大口支出も少ないなら、年金形式の割合を増やす余地があります。ただし、公的年金と企業年金が重なる年の手取りは見ておきます。

退職後の生活費がまだ曖昧なら、退職後の生活費を年金前後で分けた記事から数字を作ると、空白の年が見えやすいです。

老後資金全体とのバランスは、50代の老後資金をわが家の数字で考えた記事につなげて見ると、退職金だけを特別扱いせずに済みます。

正直、10年分を細かく当てるのは無理があります。物価も働き方も変わります。それでも、「この年は教育費」「この年から公的年金」「この年に住宅修繕」くらいの粗い地図があれば、受取方法を税金だけで決めずに済みます。

決める前に、会社へこの7項目を確認する

最後に、私なら選択期限の前に会社や企業年金の窓口へ七つ確認します。資料に書いてあっても、言葉の意味が分からなければ遠慮せず聞きます。

  1. 一時金、年金、併用のどれを選べるか
  2. 各案の税引前見込額と受取期間
  3. 年金へ反映される利率と、途中で変わる可能性
  4. 保証期間と、受給中に死亡した場合の扱い
  5. 申請期限と、選択後に変更できるか
  6. 退職所得の源泉徴収票など発行される書類
  7. DC・iDeCo・過去の退職金を含め、どこへ税務確認すべきか

回答は口頭だけで終わらせず、案内書やメールと一緒に残します。家族にも「一時金がいくら」だけでなく、「年金なら何年間、死亡時はどうなる」と共有した方が、選んだ理由が伝わります。

相談前には、質問欄を空けた比較表を作っておくと便利です。一時金の手取り見込額、年金の年額と期間、併用割合、選択期限、未確認事項の五列だけで構いません。分からない欄を無理に埋めず、そのまま窓口で質問します。

また、退職所得の源泉徴収に使う申告書を勤務先へ出すのか、確定申告が必要になるケースはあるのかも聞きます。通常は勤務先の手続きで課税関係が終わる退職金でも、複数の退職手当や他の事情があると確認したい点が増えます。

一時金が向く人、年金が向く人を、性格だけで簡単に分けるのは難しいです。まとまったお金を管理できる人でも、定期収入がある方が安心なことはあります。年金形式が好きでも、退職直後の支出が大きければ一時金が役立ちます。

私が決めたいのは、税金の最小額ではなく、退職後の手取りと暮らしが無理なく続く受け取り方です。

まずは会社の案内から、選べる方法、見込額、期限の三つだけ抜き出す。次に10年の家計表へ置く。税務上の細かい扱いは、その二枚を持って窓口へ確認する。この順番なら、難しい制度に振り回されにくいと思います。

一時金と年金のどちらか一方へ急いで決めなくても、併用できるなら中間案もあります。自分の制度と家計を見たうえで、「わが家はなぜこの割合にしたか」を説明できれば、それがいちばん納得できる答えです。

決定した後は、受取日、振込先、税務書類の保管場所、年金の次回通知日を家族と共有します。選んで終わりではなく、退職後の家計表へ実際の入金額を反映し、最初の一年だけは予定との差を見直すところまでを一つの手続きにしたいです。

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