
50代になると、「同世代はどのくらい貯金しているのだろう」「わが家は少なすぎないか」と気になりますよね。私も平均額を見つけると少し安心し、もっと多い数字を見ると急に焦ります。検索するほど気持ちが落ち着かなくなることもあります。
2025年のJ-FLEC調査では、50歳代・二人以上世帯の金融資産は平均1,908万円、中央値700万円でした。ただし、この数字は「安心して暮らせる金額」ではありません。住宅ローンがいくら残っているか、子どもの教育費をいつ払うか、年金がいくら入るかは、世帯ごとに違うからです。
わが家も子どもがまだ小学生で、進路によって今後の教育費は大きく変わります。住宅ローンもありますし、私が会社員の給料を失う怖さもあります。だから私は、平均との距離より、「守る現金」「5年以内に使うお金」「年金開始後を支えるお金」の三つから考えます。あなたの家庭にも置き換えられるよう、一緒に整理してみましょう。
先に結論をお伝えすると、50代の安心額は平均や中央値では決まりません。生活が止まったとき、近い将来、年金開始後という三つの時間で作ります。
50代の金融資産は平均1,908万円、中央値700万円
金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」によると、50歳代・二人以上世帯の金融資産保有額は平均1,908万円、中央値700万円です。金融資産を保有していないと答えた世帯は18.2%でした。
単身世帯の50歳代では、平均999万円、中央値120万円、金融資産非保有35.2%です。平均は一部の多額保有世帯に引き上げられやすく、中央値は金額順に並べた真ん中です。それでも中央値は「これだけあれば足りる」という線ではありません。
| 50歳代 | 平均 | 中央値 | 金融資産非保有 |
|---|---|---|---|
| 二人以上世帯 | 1,908万円 | 700万円 | 18.2% |
| 単身世帯 | 999万円 | 120万円 | 35.2% |
1,908万円を見ると「1,000万円では足りない」と感じ、700万円を見ると「ひとまず大丈夫」と思う方もいるかもしれませんね。私も数字の高低に気持ちを預けそうになります。でも、同じ700万円でも、ローンがない家庭と1,500万円残る家庭では余力が違います。
もう一つ気をつけたいのが「金融資産」の意味です。この調査には、将来に備えて蓄えている預貯金、保険、株式、投資信託などが含まれます。一方、日常の出し入れ用普通預金、不動産、事業用資産などは含まれません。「銀行の普通預金だけの平均」ではないのです。
平均1,908万円も中央値700万円も、わが家の合格点ではなく、同世代の分布を知る参考値です。
平均額より、負債とこれからの予定を一緒に見る

貯金の現在地を見るなら、資産の横に負債を置きます。総務省の2025年家計調査では、二人以上世帯のうち50~59歳の貯蓄現在高は平均1,882万円、負債現在高は平均1,381万円でした。J-FLECとは調査対象も「貯蓄」の定義も違うので、二つの数字を直接引き算はできません。それでも、50代では負債も大きい家庭があることが分かります。
住宅ローンの残高だけでなく、金利、完済年齢、毎月返済額も並べます。教育費なら、進学先が未定でも「公立中心」「私立を含む」の二案を置けます。ほかに車の買い替え、外壁や給湯器、親の支援など、5年以内にまとまって出そうなお金を書きます。
平均より多ければ安心したくなりますよね。私も資産額だけなら胸をなで下ろしそうです。でも住宅ローンを急いで返せば教育費の現金が減り、現金を残せばローン返済は続きます。どちらがよいかは、平均額では決められません。
| 見る数字 | 金額だけでなく添えること |
|---|---|
| 金融資産 | 現金・保険・投資、いつ使えるか |
| 住宅ローン | 残高・金利・完済年齢・毎月返済 |
| 教育費 | 支払う年・進路別の幅 |
| 大型支出 | 車・修繕・家族支援の時期 |
私は「資産-負債」だけで安心も決めません。住宅は暮らしを支えますし、ローンを抱えたままでも手元現金が厚い方が落ち着く時期があります。純資産、毎月返済、5年以内の支出という三つを並べ、家族が困る場面を先に探します。
一つ目は、収入が止まっても暮らしを守れる現金
最初に分けるのは、病気、休職、失業、家電故障などへ使う生活防衛資金です。毎月の基本生活費を出し、会社の制度、公的給付、配偶者の収入、保険でどこまで守られるかを見ます。その差を、すぐ引き出せる預金などで持ちます。
よく「生活費の3か月分、6か月分、1年分」と聞きますが、全家庭に同じ月数を当てる話ではありません。収入源が一つか、雇用は安定しているか、子どもや親を支えるか、傷病手当金などを受けられるかで変わります。
給料が毎月入るうちは、現金を多く置くのがもったいなく見えますよね。私も投資へ回せば増えるかもしれない、と考えます。それでも会社員の給料を失う怖さがある私は、相場が下がった日に生活費のために売らずに済む残高が、利回り以上に心を支えてくれます。
生活防衛資金を何か月分持つか迷う方は、50代の生活防衛資金を家庭条件で考えた記事も使ってみてください。教育費や投資資金と名前を分けるだけでも、「どこまで使ってよいか」が見えやすくなります。
守る現金は、平均貯金へ追いつくためのお金ではなく、慌てて投資を売らないためのお金です。
二つ目は、5年以内に使うお金を年表へ置く

次に、今から5年ほどの予定を年ごとに並べます。子どもの受験・入学、車検と買い替え、住宅修繕、ローンの繰り上げ返済、家族旅行などです。金額が決まらないものは、一つに決めず幅で置きます。
| 時期 | 予定 | 少ない案 | 多い案 | 置き場所 |
|---|---|---|---|---|
| 1年以内 | 家電・車検 | 30万円 | 80万円 | 現金 |
| 2~3年 | 進学準備 | 100万円 | 250万円 | 現金中心 |
| 4~5年 | 住宅修繕 | 100万円 | 250万円 | 定期等も検討 |
教育費は、親としてできるだけ出したい気持ちがありますよね。私も子どもが希望する進路を、お金だけで最初から閉じたくありません。その一方で、自分たちの老後を空にして子どもへ負担を戻すのも避けたいです。だから妻と、希望額だけでなく家計から出せる上限も話します。
5年以内に使う予定のお金を値動きの大きい資産へ入れすぎると、必要な年に相場が下がるかもしれません。投資をやめる話ではなく、使う時期で置き場所を変える話です。年表に置いた金額を金融資産からいったん分けると、長く運用できるお金が残ります。
旅行や趣味も年表へ入れて構いません。私は家計を整えるために、家族で出かける時間を全部先送りしたくありません。「今しかできない支出」を見える化して残すことも、50代のお金の役目です。
三つ目は、年金開始後の不足額を自分の数字で出す
老後のお金は、「老後2,000万円」や同世代の中央値から始めず、年金開始後の年間支出から本人と配偶者の年金見込額を引きます。老齢基礎年金は受給資格を満たす場合、原則65歳からです。ねんきんネットなら、働き方や受給開始年齢の条件を変えて試算できます。
たとえば、65歳以降の年間支出が300万円、世帯の年金手取り見込みが240万円なら、年間不足は60万円です。20年なら単純合計1,200万円、30年なら1,800万円です。ここへ医療・介護、住宅修繕、物価上昇の余白を別に見ます。運用を続ける場合は、利回りを約束された数字として入れません。
平均の年金額を入れたくなりますよね。私も自分の見込額を開くのが少し怖く、平均で済ませたくなることがあります。でも加入歴、給与、退職時期、配偶者の働き方で変わります。本人の数字を知ると、足りない額だけでなく「意外とここまでは守られている」と分かることもあります。
| 老後の確認欄 | 入れる数字 |
|---|---|
| 年間支出 | 基本生活費+年払い+楽しみ |
| 公的年金 | 本人・配偶者の見込手取り |
| 働く収入 | 続けられる年数と少なめの手取り |
| 年間不足 | 支出-年金-働く収入 |
| 別枠 | 医療・介護・修繕・物価の余白 |
計算の手順をもう少し詳しく見たい方は、50代の老後資金をわが家の数字で考えた記事も参考にしてください。貯金総額と老後の不足額を分けると、目標がぼんやりした大金から、毎年の差へ変わります。
貯金と投資は、使うまでの時間で分ける
生活防衛資金と5年以内の予定額を分けたら、残りのうち長く使わないお金を運用候補として考えます。預金は値動きが小さく、すぐ使えますが、物価が上がると買える量が減ります。投資は成長を期待できる一方、使いたい年に値下がりすることがあります。
NISAには運用益が非課税になる利点がありますが、枠を埋めること自体が目的ではありません。子どもの入学金を来年払うなら、そのお金を値動きの大きい商品へ移して平均貯金との差を埋めようとしない方が、私は落ち着きます。
私は以前、貯金だけが正しいと思っていました。投資をもっと早く知ればよかったという気持ちもあります。でも、その反動で50代から急に増やそうとすると、相場の下落が生活予定へ直結しますよね。近いお金は守り、遠いお金は分散して育てる。この順番なら、貯金派か投資派かの二択になりません。
50代で運用へ回せるのは、平均額との差ではなく、守る現金と近く使うお金を除いても長く待てる部分です。
NISAをどこから始めるか迷う方は、50歳から新NISAを始めるときの順番もどうぞ。商品名より先に、いつ使うお金かを決めると、下落時にも続けやすい金額が見えてきます。
今週末の30分で「わが家の安心額」を一枚にする
数字をたくさん見た後は、何から手を付ければよいか分からなくなりますよね。私も不安になると検索を続け、平均との差を何度も計算してしまいます。そこで今週末は、完璧なライフプランを作らず、A4用紙を三つに区切ります。
- 守る現金:基本生活費、収入が止まったときに使える制度、手元に置く月数
- 5年以内のお金:教育、ローン、車、修繕、家族の予定を年ごとに記入
- 年金後のお金:年間支出-本人と配偶者の年金-小さな収入
その下に、金融資産、住宅ローン残高、退職金の見込みを書きます。金融資産は預金、保険、NISA、課税口座などへ分け、すぐ使えるかも添えます。分からない欄は空白のままで構いません。空白が、次に調べることを教えてくれます。
夫婦で金額を出すと、価値観の違いが見えるかもしれませんね。わが家でも、教育費をどこまで出したいか、住宅ローンをいつ減らしたいかは、私一人では決められません。私は数字を正解として見せるのではなく、「私はここが怖い」と気持ちも添えて妻に話したいです。
30分で終わらなければ、ねんきんネットの確認、ローン残高、進路別教育費の三つだけ宿題にします。平均を何度も検索するより、空白を一つ埋める方が、わが家の安心へ近づきます。
まとめ:50代の安心額は、家庭ごとに作っていく
50歳代・二人以上世帯の金融資産は平均1,908万円、中央値700万円ですが、どちらも安心の合格点ではありません。単身か二人以上か、住宅ローン、教育費、退職時期、年金、毎月の暮らしで答えは変わります。
「では結局、いくらあればよいの」と思いますよね。私も一つの金額を言ってもらえたら楽だと感じます。それでも、他人の700万円や1,908万円より、わが家が困る三つの時間を埋めた合計の方が、ずっと使える答えになります。
- 収入が止まっても暮らしを守れる現金
- 教育費や住宅費など5年以内に使うお金
- 年金開始後の年間不足を支えるお金
安心額は同世代より多い金額ではなく、わが家の予定に名前を付けて用意できた金額です。
私は今夜、平均額をもう一度検索する代わりに、住宅ローン残高と子どもの次の進学時期を一枚に書きます。あなたも、まずは通帳を全部集める前に、紙を三つに区切るところから始めてみませんか。分からない数字が一つ見つかれば、それだけでも立派な前進です。