
相続税を調べると、「配偶者は1億6,000万円まで相続税がかからない」と出てきますよね。それなら、いったん配偶者が全部受け取れば、家族の税金を一番少なくできるように見えます。
正直、私も目の前の納税額がゼロになるなら、その分け方へ気持ちが傾きそうです。でも、配偶者が実際に取得した財産、遺産分割、相続税申告が関係します。さらに、その配偶者が亡くなったときの二次相続では、同じ軽減を子どもが使えるわけではありません。
2026年8月5日に国税庁の案内を確認し、正式な制度名、1億6,000万円と法定相続分、申告、未分割、二次相続まで整理しました。節税だけで配偶者へ財産を集めるのではなく、残された人の住まい、生活費、管理のしやすさを一緒に考えます。
私なら、一次相続の税額だけで分け方を決めません。配偶者の暮らし、本人固有の財産、子どもとの二次相続を三枚に分けて見ます。
正式名称は「配偶者の税額軽減」

検索では「相続税の配偶者控除」と呼ばれることが多いですが、国税庁の案内では「配偶者の税額の軽減」です。亡くなった人の配偶者が、遺産分割や遺贈によって実際に取得した正味の遺産額について、次の二つのうち多い金額まで、配偶者に相続税がかからない仕組みです。
- 1億6,000万円
- 配偶者の法定相続分相当額
たとえば、配偶者と子が相続人なら、配偶者の法定相続分は2分の1です。正味の遺産額が2億円で、配偶者が法定相続分どおり1億円を取得した場合は、1億6,000万円の方が多いため、その取得額は軽減の範囲内になります。正味の遺産額が4億円なら、法定相続分相当額の2億円の方が多くなります。
「1億6,000万円が上限ではないの」と驚きますよね。私も制度名より数字だけ覚えていたら、法定相続分の方が多いケースを見落とします。ただし、軽減されるのは配偶者が実際に取得した財産を基に計算します。法定相続分があるだけで、自動的にその金額を取得した扱いになるわけではありません。
1億6,000万円は一律の上限ではなく、配偶者の法定相続分相当額と比べて多い方を使います。
| 相続人の組み合わせ | 配偶者の法定相続分 | 軽減額を見る基準 |
|---|---|---|
| 配偶者と子 | 2分の1 | 1億6,000万円または正味の遺産額の2分の1 |
| 配偶者と父母など直系尊属 | 3分の2 | 1億6,000万円または正味の遺産額の3分の2 |
| 配偶者と兄弟姉妹 | 4分の3 | 1億6,000万円または正味の遺産額の4分の3 |
| 配偶者のみ | 全部 | 法定相続分相当額 |
対象は法律上の配偶者で婚姻期間の長さは問われない
配偶者の税額軽減を使えるのは、亡くなった人の法律上の配偶者です。内縁関係の人は法定相続人に含まれないため、この軽減の対象になりません。婚姻期間が20年以上必要という制度ではなく、相続開始時に法律上の婚姻関係があるかを見ます。
「長く一緒に暮らしてきたのだから、届出がなくても同じでは」と感じる方もいますよね。私も暮らしの実態と制度の線引きが違うと、冷たく感じます。それでも相続税の計算では、戸籍上の関係を確認します。内縁のパートナーへ財産を残したい場合は、遺言や保険の受取人、ほかの税負担まで早めに専門家へ相談します。
配偶者は常に相続人ですが、一緒に相続人となる人は、子、直系尊属、兄弟姉妹の順で変わります。家族図が一段違うだけで、法定相続分も軽減額の基準も変わります。兄弟姉妹や代襲相続が関係する家庭は、自己判断で割合を置かず戸籍から確かめます。
夫婦のお金を日頃から話していても、相続人の範囲まで共有している家庭は多くないと思います。わが家でも家計の話はできますが、「自分が先に亡くなったら誰が相続人か」まで自然に切り出すのは少し重いです。まず財産額ではなく、家族図と連絡先から始める方が話しやすいです。
税額がゼロでも相続税申告が必要になる
相続税全体の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。正味の遺産額などが基礎控除の範囲内なら、通常は相続税の申告も納税も要りません。一方、基礎控除を超え、配偶者の税額軽減を使った結果として配偶者の税額がゼロになる場合は、軽減を受けるための相続税申告が要ります。
国税庁は、税額軽減の明細を記載した申告書に、戸籍謄本等のほか、遺言書の写しや遺産分割協議書の写しなど、配偶者が取得した財産の分かる書類を添えるよう案内しています。遺産分割協議書の写しには、相続人全員の印鑑証明書も添付します。
「税金が0円なら、税務署へ出すものもない」と思いたくなりますよね。正直、私も納付書がなければ手続きは終わりだと考えそうです。でも、基礎控除内で申告不要なのか、特例を使って税額ゼロなのかは別です。財産一覧に特例を使う前の金額も残します。
配偶者の税額軽減を使って税額がゼロになる場合、申告まで不要とは限りません。
相続税申告の入口から確かめたい方は、まず財産、債務、法定相続人を一枚にします。親の資産を聞き出すようで気が重いときは、金額より書類の場所から共有する考え方が始めやすいです。
未分割の財産はそのまま軽減の対象にできない
配偶者の税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算します。そのため、相続税の申告期限までに分割されていない財産は、原則としてその時点では軽減の対象になりません。
ただし、申告書へ「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付し、申告期限から3年以内に分割したときは対象になり得ます。申告後の遺産分割に基づいて軽減を受ける場合は、分割成立日の翌日から4か月以内に更正の請求を行う案内があります。やむを得ない事情が長引く場合にも別の条件があります。
期限を聞くと、「特例を逃す前に早く分けなければ」と家族を急がせたくなりますよね。私も税金の締切が見えると、暮らしの話より先に丸を付けたくなります。でも、誰が自宅を持ち、預金を管理し、修繕費を負担するかは、その後の生活に続きます。期限と家族の合意を別の列で進めます。
- 死亡日と通常の申告期限を記録する
- 相続人と財産の範囲を確かめる
- 配偶者が取得する財産と生活費を仮置きする
- 未分割なら分割見込書などの扱いを確認する
- 分割後の更正の請求期限を記録する
遺産が未分割のままでも自動的に配偶者の法定相続分へ軽減が付く、とは考えません。
「配偶者に全部」は二次相続まで並べて考える

夫婦の一方が亡くなった最初の相続を一次相続、その後に残された配偶者が亡くなったときの相続を二次相続と呼ぶことがあります。一次相続で配偶者が多く取得すれば、その時点の税額は軽くなりやすい一方、二次相続では配偶者の税額軽減がなく、法定相続人が一人減ることもあります。
さらに、残された配偶者がもともと持っていた預金や不動産へ、一次相続で受け取った財産が加わります。反対に、生活費や医療費、介護費、住まいの修繕に使い、二次相続時の財産が減ることもあります。何年後にどのくらい残るかは分からないため、一次相続の税額だけで正解を決めません。
「将来の税金まで考えたら、配偶者は少なく受け取る方がいいの」と不安になりますよね。私も数字だけなら子どもへ早く分けた方が得に見える場面がありそうです。でも、残された配偶者の住まいと生活費を薄くしてまで、二次相続の税金を下げるのは違います。まず暮らしを守り、その範囲で二つの相続を比べます。
| 見るもの | 一次相続 | 二次相続 |
|---|---|---|
| 相続人 | 配偶者と子など | 子など。配偶者はいない |
| 配偶者の税額軽減 | 条件を満たせば使える | 亡くなった配偶者本人の相続では使えない |
| 財産 | 最初に亡くなった人の財産 | 配偶者固有の財産と一次相続で受け取った残り |
| 暮らし | 配偶者の住まいと当面の現金 | 介護、住み替え、修繕後に残る財産 |
自宅土地に小規模宅地等の特例を使えるか、生命保険の受取人は誰か、子どもへどの財産を渡すかによっても結果は変わります。自宅を税金だけで配偶者名義にせず、住み続ける人、管理する人、売却判断をする人まで話します。
税額より先に住まい・生活費・管理負担を決める
遺産分割を考えるとき、私は財産を金額だけで並べません。自宅は住む場所、預金は生活費と納税資金、賃貸物件は収入と管理負担、有価証券は値動きと換金のしやすさがあります。同じ1,000万円でも、配偶者の暮らしに与える役割は違います。
配偶者が高齢で、複数の金融機関や不動産を一人で管理するのが難しい場合もあります。税額を下げるため財産を集めても、名義変更、修繕、確定申告、売却判断が重くなるかもしれません。子どもが遠方なら、管理できる人と所有する人をどうつなぐかも見ます。
「税金で損をしない分け方を決めてから、暮らしを考えたい」と思いますよね。正直、私も明確な数字へ逃げたくなる場面があります。でも、家族旅行や思い出には今しか使えないお金があるように、残された配偶者の安心にも今必要なお金があります。相続税だけを最小にすることを、家族の目的にしません。
- 住まい:誰が住み、修繕費と固定資産税を払うか
- 生活費:年金開始時期と毎月不足する現金はいくらか
- 医療・介護:近い将来に使う現金をどこへ置くか
- 管理:口座、不動産、有価証券を誰が手伝えるか
- 子世代:二次相続で受け取る財産と納税資金をどう見るか
親の介護費と子世帯の教育費が重なるのが気になる方は、介護費を家族全体で先に分ける考え方も参考になります。配偶者へ残す現金を決めるとき、介護の公的制度や本人の年金も一緒に見た方が安心です。
申告期限から逆算して三つの資料を作る
相続税の申告が必要な場合、通常は被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内です。悲しみの中で、戸籍、財産調査、遺産分割、納税まで進めるため、最初から完璧な税額計算を目指すより、家族図、財産一覧、暮らし表の三つを作ります。
家族図には法定相続人と連絡先、財産一覧には評価の根拠と名義、暮らし表には配偶者の住まい、年金、生活費、医療・介護、管理を記録します。配偶者の税額軽減を使う前と使った後の税額、一次相続と二次相続の説明を税理士へ依頼すると、分け方の違いを家族で比べやすくなります。
書類が増えると、それだけで動けなくなりますよね。私も不安になると情報を集めすぎ、全部読まなければ決められない気がします。最初は三枚の見出しだけで大丈夫です。金額が分からなければ「不明」、不動産評価が必要なら「専門家確認」と残します。
| 資料 | 最初に書くこと | 相談で確かめること |
|---|---|---|
| 家族図 | 配偶者、子、代襲相続、連絡先 | 法定相続人と法定相続分 |
| 財産一覧 | 預金、不動産、保険、負債、資料場所 | 評価額、特例、申告要否 |
| 暮らし表 | 住まい、生活費、年金、介護、管理者 | 配偶者が受け取る財産と二次相続 |
申告期限が近いからと、配偶者の生活設計を見ないまま遺産分割を決めないようにします。
夫婦のお金を普段からどこまで共有するか迷う方は、家計情報を夫婦で一枚にする方法から始めてください。相続対策の会議にせず、口座と書類の場所を確認するだけでも、将来の負担は変わります。
まとめ:一次相続・暮らし・二次相続を三枚にしよう
相続税の配偶者控除を調べると、1億6,000万円、法定相続分、未分割、更正の請求、二次相続と、判断材料が一気に増えます。「結局、配偶者はいくら受け取ればいいの」と疲れますよね。私も数字を追うほど、残された人の暮らしが表の外へ出てしまいそうです。
今日のゴールは、最も税金が少ない遺産分割を家族だけで決めることではありません。一次相続の財産と税額、配偶者の住まいと生活費、二次相続の家族と財産を三枚に分けます。1億6,000万円は、その中の一つの制度上の目安です。
「二次相続なんて何年先か分からない」と思いますよね。その通りです。だから一つの未来を当てるのではなく、配偶者が長く暮らす場合、介護や住み替えがある場合、財産があまり減らない場合をざっくり比べます。正確な予言ではなく、偏った分け方に気づくための確認です。
まずは配偶者が今の家で暮らすための現金と管理できる財産を書いてみてください。その後に、配偶者の税額軽減をどこまで使うか、税理士へ二つ以上の分け方案を出してもらえば大丈夫です。税額ゼロより、残された人が安心して暮らせることを先に置けたら、今日はそこまでで十分です。