
親の証券口座に株や投資信託があると分かったとき、「画面に出ている残高が相続税の金額なのかな」と思いますよね。株価は毎日動きますし、投資信託には口数や基準価額があり、何日・どの数字を使うのか迷いやすいところです。
私も投資には長く関わってきましたが、相続の評価は普段の資産管理とは別の作業だと感じます。知っている銘柄ほど、今の株価や運用成績から考えたくなります。でも、基準にするのは原則として相続が始まった日です。
そこで今回は、2026年8月12日に国税庁と日本証券業協会の最新情報を確認し、上場株式、投資信託、ETF・J-REIT、NISA、必要資料をやさしく整理しました。計算を急ぐ前に、証券口座の中身を一緒にほどいていきましょう。
最初にするのは、評価額を一つ書くことではありません。口座ごとに、商品名、商品区分、口数、相続開始日をそろえることです。
株・投資信託は証券口座の残高をそのまま書き写さない
証券会社の残高画面や月次報告書には、ある時点の時価評価額が表示されます。しかし、相続税では上場株式と投資信託で評価方法が異なります。まず商品を分け、亡くなった日を基準に、それぞれのルールへ当てはめます。
上場株式は死亡日の最終価格だけでなく、その月と前二か月の月平均額を比べます。投資信託は、死亡日に解約または買い取りを請求したら受け取れる価額が基本です。預り金や外貨、債券、未収配当金も、株と一緒にせず別の欄へ置きます。
一つの口座なのに分けるのは面倒ですよね。私も口座の合計額を一行で済ませたくなります。でも、証券会社の残高証明書を商品ごとに色分けすると、評価方法を取り違えにくくなります。全部を理解するより、まず分類です。
| 口座内の商品 | 評価の入口 | 別に確認すること |
|---|---|---|
| 上場株式 | 死亡日の終値と三つの月平均額 | 休場日、権利落ち、分割など |
| 一般的な投資信託 | 死亡日に解約等した場合の受取価額 | 基準価額の単位、留保額、手数料など |
| ETF・J-REIT | 上場株式に準じる | 上場市場と価格 |
| 預り金・外貨・債券 | 商品ごとの評価 | 残高、利息、為替など |
証券口座の合計残高を、そのまま株・投資信託の相続税評価額にしないでください。
上場株式は死亡日の終値と3つの月平均額を比べる

国税庁によると、上場株式は原則として相続開始日の最終価格で評価します。ただし、その価格が「相続開始月」「その前月」「その前々月」の月平均額のうち最も低い価額を超える場合は、その最も低い価額を使えます。
つまり、確認する候補は四つです。死亡日の終値だけを見て終わらず、三つの月平均額を並べ、最も低い価額を選びます。選んだ一株当たりの価額へ、死亡日に保有していた株数を掛けて銘柄ごとの評価額を求めます。
四つを比べられると聞くと、少し得な数字を探すゲームのように見えますよね。私も安い数字だけに目が向きそうですが、月平均の対象月や相続開始日を一日ずらしてはいけません。死亡日と保有株数を先にペンで囲み、それから価格を集めます。
| 候補 | 一株当たり価額の例 |
|---|---|
| 死亡日の終値 | 2,100円 |
| 死亡月の月平均額 | 2,040円 |
| 前月の月平均額 | 1,980円 |
| 前々月の月平均額 | 2,020円 |
国税庁には「上場株式の評価明細書」があります。銘柄ごとに四つの価額と株数を残せるので、家族が後から見ても採用理由を追いやすくなります。証券会社によっては相続税評価に必要な参考資料を用意できるため、窓口へ聞いてみましょう。
同じ証券会社に複数銘柄があっても、評価は銘柄ごとです。月平均額の出典と取得日もメモへ残します。数字だけを書き写すより、資料名や公表ページを一緒に保存すると、申告書を見直すときに迷いません。
休日・権利落ち・株式分割があれば単純比較を止める
亡くなった日が土日祝日などで取引所の最終価格がない場合は、その日に最も近い日の最終価格を使うなどのルールがあります。前後の日の距離が同じなら、両日の平均を使う場合もあり、単純に前営業日の終値だけとは限りません。
また、権利落ちや配当落ち、株式分割、併合、新株の割当てなどが評価期間に重なると、価格の連続性を整えてから比べます。死亡日前後の株価だけを表へ写しても、比較できる状態になっていないことがあります。
新聞や株価サイトで数字を見つけると、計算を進めたくなりますよね。私も普段の投資なら過去チャートを見ますが、相続では「終値があるか」「権利落ちがないか」を先に確認します。複雑な企業行動があれば、評価明細書を持って税理士へ相談します。
- 死亡日が取引所の休業日
- 死亡日前後に権利落ち・配当落ちがある
- 株式分割・併合・割当てがある
- 複数市場へ上場している
- 銘柄コードや株数が残高証明書と合わない
休場日や権利落ちがある銘柄は、普段見る株価をそのまま採用せず、国税庁の取扱いを確認してください。
海外上場株式や外貨建て商品では、取引市場の営業日や円換算も加わります。日本株と同じ欄で急いで計算せず、商品名、通貨、取引市場を証券会社へ伝えましょう。外貨残高や未収配当が別にないかも一緒に聞けます。
投資信託は死亡日に解約したら受け取れる価額で見る
一般的な投資信託は、死亡日に解約請求または買取請求をしたと仮定したとき、証券会社などから受け取れる価額で評価します。基準価額と口数を土台に、源泉徴収される所得税相当額、信託財産留保額、解約手数料などを反映します。
注意したいのが基準価額の表示単位です。投資信託では「1万口当たり」の基準価額がよく使われます。例えば100万口を持っているとき、表示された基準価額を100万倍するのではなく、単位をそろえて計算します。
私も口数の桁を見ると、一瞬「こんなに多かったかな」と戸惑います。株の一株と投資信託の一口は、同じ感覚で見ない方が安心です。残高証明書へ「基準価額は何口当たりか」を書き足すだけで、桁の間違いを防ぎやすくなります。
基準価額と口数がそろうと、もう計算できると思いますよね。けれど、商品ごとの留保額や手数料があるかもしれません。分からない項目は空欄にして、証券会社へ「死亡日に解約した場合の受取価額に何を反映するか」と聞いてみてください。
死亡日に基準価額がない場合は、その日に最も近い日以前の基準価額を使います。商品によって解約方法や控除項目が違うため、運用会社の月報だけで終わらず、証券会社へ死亡日現在の評価に必要な資料を確認しましょう。
投資信託は「基準価額×画面の口数」で終わらせず、表示単位と解約時の控除項目を確認しましょう。
ETF・J-REITと非上場株式は同じ計算に入れない
投資信託という名前が付いていても、取引所に上場するETFやJ-REITなどは、上場株式の評価方法に準じます。死亡日の終値と三つの月平均額を比べる側へ分類します。一般の公募投資信託と同じ基準価額の式へ入れません。
一方、親が自分の会社や取引先の非上場株式を持っている場合は、上場株式の四つの価格で評価できません。会社規模、純資産、利益、配当、同族株主かどうかなどを使う別の評価があり、決算書や株主名簿も必要になります。
同じ口座一覧に「株」と書かれていると、まとめたくなりますよね。私も商品名だけで分かった気になりそうです。そこで商品名の横へ「上場」「投信」「非上場」と大きく書きます。分類が分からない商品は、証券会社へ聞く欄へ移し、推測で計算を続けません。
NISA口座の商品にも注意しましょう。NISAは配当や売買益を非課税にする制度ですが、「相続税評価がゼロ」という意味ではありません。日本証券業協会によると、相続した上場株式等は相続人のNISA口座へ入れられず、特定口座か一般口座へ移管します。
非課税という言葉だけで、相続財産から外したくなりますよね。けれど、相続税の評価と、NISAでの運用益の非課税は別です。死亡届出や移管の手続きもあるため、NISA口座を見つけたら証券会社の相続窓口へ連絡しましょう。
相続人側の口座準備にも時間がかかる場合があります。遺産分割が決まる前でも、証券会社の必要書類や受付の流れは聞けます。誰が受け取るかを急いで決める前に、戸籍、遺言書、遺産分割協議書など何が要るかを一覧にしておきましょう。
残高証明書・取引報告書・銘柄一覧を一つの証券メモへ集める
証券会社へ連絡するときは、死亡日現在の残高証明書、顧客勘定元帳や取引履歴、相続税評価の参考資料を依頼できるか尋ねます。特定口座年間取引報告書、配当金の通知、投資信託の取引残高報告書も捨てずにまとめます。
ネット証券では郵送書類が少なく、家族が口座に気づかないことがあります。銀行口座から証券会社への入出金、メール、郵便物、スマートフォンのアプリなどが手掛かりです。ただし、亡くなった方のIDやパスワードで勝手にログインせず、正式な相続手続きへ進みます。
口座がいくつもあると、残高証明書が届くたびに不安になりますよね。私も情報が増えるほど全体を見失いやすいので、一社一枚の証券メモにします。金額が未確定でも、連絡日と担当窓口が書いてあれば前へ進んでいます。
- 証券会社名、支店名、口座番号、口座種別
- 死亡日現在の銘柄名、銘柄コード、株数・口数
- 特定・一般・NISAなどの預り区分
- 配当金、分配金、預り金、外貨の有無
- 残高証明書の依頼日と受領日
親の財産全体の所在がまだ分からないなら、親の財産を一枚にする記事も参考にしてください。証券口座だけを探して終わらず、預金、保険、不動産、借入金も同じ一覧へつなげます。
評価と名義変更・売却判断・取得費は別の列で管理する
相続税評価額が出ても、誰が株を受け取るか、いつ売るかは別の判断です。値下がりが怖くて急いで売りたくなる場合もありますが、遺産分割、証券会社の移管手続き、家族の生活資金を合わせて考えます。
また、相続税の評価と、相続後に売却するときの譲渡所得計算も分けます。売却益の計算で使う取得費は、原則として亡くなった方の取得費を引き継ぎます。相続税評価額が、そのまま売却時の取得費になるとは限りません。
価格が毎日動くと、正解を急ぎたくなりますよね。私も相場を見るほど「今売るべきか」に気持ちが寄ります。だからこそ、表を「相続税評価」「移管」「売却判断」「取得費資料」の四列に分け、税務と運用を一度離します。
| 列 | 主な目的 | 相談先の例 |
|---|---|---|
| 相続税評価 | 申告に使う価額を確定 | 税務署、税理士 |
| 移管 | 相続人の口座へ名義変更 | 証券会社 |
| 売却判断 | 生活資金・リスク許容度を確認 | 家族、必要に応じ中立的な専門家 |
| 取得費資料 | 将来の譲渡所得計算に備える | 証券会社、税理士 |
財産の合計が基礎控除を超えるか分からない方は、相続税がかかる目安を基礎控除から確認する記事へ進んでください。株価だけで判断せず、預金、不動産、保険などを合わせて見ます。
相続税を納めるために売却が必要になりそうなら、現金化までの日数も確認します。相場がある商品でも、死亡後すぐ自由に売れるとは限りません。申告・納付の期限から逆算し、手続き中の生活費や納税資金を家族で分けて考えます。
まとめ:口座・商品・基準日・単価・口数の5行へ落とそう

株や投資信託の相続税評価は、証券口座の合計残高を見るだけでは終わりません。商品を分け、死亡日を決め、上場株式は四つの価額を比べ、投資信託は死亡日に解約等したときの受取価額を確かめます。
| 5行メモ | 書く内容 |
|---|---|
| 口座 | 証券会社、支店、口座種別、相続窓口 |
| 商品 | 上場株、投信、ETF・J-REIT、非上場株など |
| 基準日 | 死亡日、休場日や権利落ちの有無 |
| 単価 | 終値・月平均額、基準価額と表示単位 |
| 口数 | 死亡日現在の株数・口数、残高証明書 |
証券用語が続くと、自分には無理だと感じますよね。私も一度に全銘柄を計算しようとはしません。今日できるのは、証券会社名と口座種別を一枚へ書くこと。次に残高証明書を依頼すれば、評価の土台ができます。
口座・商品・基準日・単価・口数の五つが並べば、分からない点を証券会社や税理士へ具体的に聞けます。運用経験があっても一人で抱えず、資料を味方にして進めていきましょう。