
親がマンションを持っていると、「相続税はいくらになるのだろう」と気になりますよね。固定資産税の課税明細書には金額があり、不動産会社の査定にも別の金額が出ます。どれを使えばよいのか、最初から迷ってしまう方も多いと思います。
私も資料が何枚も出てくると、全部を一度に理解しようとして頭がいっぱいになります。特にマンションは、見た目は一つの部屋でも、相続税では土地と建物を分け、さらに2024年からの補正まで確認します。難しく感じるのは自然なことです。
そこで今回は、2026年8月12日に国税庁の最新情報を確認し、マンションの相続税評価をやさしく整理しました。正確な税額を自分だけで出すことより、どの資料をそろえ、どこから専門家へ相談するかを一緒に見ていきましょう。
最初に覚えるのは、売れそうな価格、固定資産税評価額、相続税評価額は同じではない、という一点です。
マンションは「建物だけ」ではなく土地持分と建物を分けて評価する

マンションの一室を所有すると、専有部分である建物の権利だけでなく、敷地を使う権利も持ちます。相続税の評価でも、建物の「区分所有権」と土地の「敷地利用権」を別々に計算し、最後に合計するのが基本です。
建物の従来の評価額は、原則として固定資産税評価額が土台です。一方、土地は敷地全体を路線価方式や倍率方式で評価し、登記にある敷地権割合を反映します。不動産会社から届く売却査定額を、そのまま二つに分けるわけではありません。
「一部屋なのに、なぜ二つに分けるの」と戸惑いますよね。私も最初は、部屋の価値を一つ出せば終わると思いそうです。そこで紙の真ん中に線を引いて、左へ建物、右へ土地と書きます。細かい計算へ進む前に、二つの箱があると分かるだけで資料を探しやすくなります。
| 分ける項目 | 主な土台 | 最初に見る資料 |
|---|---|---|
| 建物の区分所有権 | 固定資産税評価額 | 固定資産税課税明細書 |
| 土地の敷地利用権 | 路線価方式・倍率方式による敷地価額と敷地権割合 | 登記事項証明書、路線価図など |
固定資産税評価額だけをマンション全体の相続税評価額にしないでください。
まず固定資産税評価額・登記・敷地権割合を一つのメモへ集める
評価の入口でそろえたいのは、固定資産税課税明細書、登記事項証明書、購入時の売買契約書や重要事項説明書です。親が部屋を貸しているなら賃貸借契約書と入居状況、住宅ローンが残っているなら年末残高証明書も分けて置きます。
登記では、専有部分の床面積、建物の構造、所在階、敷地権の種類と割合を確認します。課税明細書では家屋の固定資産税評価額を探します。書類の呼び方や表示位置は自治体などで違うため、見つからなければ役所や専門家へ聞いて大丈夫です。
親にいきなり「マンションはいくら」と尋ねるのは話しにくいですよね。私も財産を探るように聞こえないか迷います。そこで金額より、「急な入院や手続きのとき困らないように、書類の場所だけ教えて」と切り出します。財産全体がまだ見えていない方は、親の財産を金額より所在から確認する記事の順番も使ってみてください。
- マンション名、部屋番号、所在地
- 固定資産税評価額の記載場所
- 敷地権の種類と割合
- 築年月、総階数、所在階、専有面積
- 自宅・空室・賃貸中など相続開始時の使い方
この五つを一枚へ写すだけでも、資料の不足が見えます。評価額がまだ空欄でも構いません。最初から完成させようとせず、「どこに聞けば埋まるか」を横へ書いておくと、家族で役割を分けやすくなります。
課税明細書は毎年届くため、古い年度が何枚も残っていることもあります。使うのは相続開始日に対応する年度の評価額です。見つけた書類の右上へ年度を書いた付箋を貼り、最新版と過年度分を分けておくと、相談時に取り違えにくくなります。
2024年以後は区分所有補正率を土地と建物の両方へ掛ける
国税庁は、2024年1月1日以後に相続、遺贈、贈与で取得した居住用の区分所有財産について、新しい評価方法を示しています。従来の方法で出した建物と土地の価額へ、それぞれ「区分所有補正率」を掛ける仕組みです。
背景には、マンションの相続税評価額と市場で売買される価格の差が、戸建てより大きくなりやすいケースがあったことがあります。ただし「どのマンションも市場価格の6割になる」という意味ではありません。従来評価との乖離を一定の式で見て、補正が不要になる範囲もあります。
制度が変わったと聞くと、以前の評価は全部使えないのかと心配になりますよね。私も新ルールという言葉だけで、最初からやり直すような不安を感じました。実際は、土地と建物を従来どおり評価したうえで補正を加えます。「土台を出す」「補正を確かめる」の二段階に分けると、少し落ち着いて読めます。
| 評価水準 | 区分所有補正率の考え方 |
|---|---|
| 0.6未満 | 評価乖離率×0.6 |
| 0.6以上1以下 | 補正しない |
| 1を超える | 評価乖離率 |
国税庁の例では、従来の建物評価額400万円、土地評価額1,050万円に補正率1.2258を掛け、建物490万3,200円、土地1,287万900円としています。これは仕組みを確認する例であり、同じ築年数や階数でも自宅の数字へ置き換えます。
売却査定額が手元にあっても、この例のように単純な割合を掛ける材料にはしません。査定額は売却を考える資料、相続税評価は申告を考える資料として並べて保存します。同じ「価格」でも目的を書き添えると、家族へ説明しやすくなります。
築年数・総階数・所在階・敷地持分の4項目で補正率が決まる
評価乖離率の計算には、主に築年数、マンションの総階数、部屋の所在階、敷地持分の狭小度が使われます。固定資産税評価額が同じ部屋でも、高層階か、敷地に対する持分がどの程度かなどで補正の結果が変わり得ます。
ここで必要になる「一棟の区分所有建物の専有部分の総面積」などは、手元の課税明細書だけで分からないことがあります。管理組合の資料、登記事項証明書、購入時資料を見ても不足するなら、管理会社や法務局、税理士へ確認する場面です。
数字が四つ並ぶと、自分で式へ入れたくなりますよね。私も表計算があると試したくなります。でも、床面積の種類や階数の数え方を一つ取り違えると、計算だけがきれいに完成してしまいます。分からない欄をゼロで埋めないことの方が大切です。
築年数や所在階を推測で入れず、登記などの資料と相続開始日を基準に確認しましょう。
国税庁は計算用の明細書も公開しています。入力欄を先に眺めると、どの資料が足りないか分かります。明細書は「一人で答えを出す道具」ではなく、「専門家へ聞く項目を見つける道具」として使うのもよい方法です。
すべてのマンションが新ルールの対象とは限らない
新しい評価方法は、居住用の区分所有財産が中心です。国税庁は、事業用のテナント物件、区分登記されていない一棟賃貸の建物、地階を除く階数が2以下の低層物件など、対象外になる例を示しています。
また、一棟の居住用専有部分が3以下で、そのすべてを区分所有者本人や親族が使う場合、棚卸資産として所有する場合などにも対象外の条件があります。「マンション」という広告上の呼び名だけでは判断できず、登記と実際の利用を合わせて見ます。
自宅が対象外の例に似ていると、すぐ補正なしにしたくなりますよね。私も例の言葉が似ているだけで、当てはまると思い込みそうです。そこで、当てはまりそうな条件へ丸を付け、その横に確認資料を書きます。自己判断で外すのではなく、なぜ対象外と考えたかを専門家へ渡せる形にします。
- 登記上、居住用の区分所有財産か
- 一棟の階数と居住用専有部分の数
- 本人や親族だけが使う小規模な建物か
- 自宅、賃貸、事業用、販売用のどれか
対象かどうかは、補正率を計算する前の分岐です。この順番を飛ばさなければ、対象外なのに複雑な計算を続けたり、対象なのに固定資産税評価額だけで止めたりする行き違いを減らせます。
同じ建物に住居と店舗が混ざる、メゾネットで階の数え方が分からない、といった場合もあります。名称から決めず、登記上の用途と建物全体の構成を伝えましょう。「対象かどうかだけ確認したい」と相談内容を絞っても構いません。
貸している部屋は補正後に貸家・貸家建付地として見る
親のマンションを第三者へ貸している場合、まず区分所有補正率を反映した建物と土地の基礎となる価額を求め、その後に貸家や貸家建付地としての減額を検討します。新ルールと賃貸中の減額は、どちらか一方を選ぶ関係ではありません。
建物は固定資産税評価額を基礎に、借家権割合と賃貸割合を反映します。土地側は、自用地としての価額、借地権割合、借家権割合、賃貸割合などが関係します。相続開始日に空室だった部屋は、その事情も見てもらいましょう。
家賃が入っていると「投資用だから安くなる」と考えたくなりますよね。私も減額という言葉だけを見て安心しそうです。けれど、誰へ、いつから、どの部屋を貸していたかで確認事項が増えます。賃貸借契約書、家賃入金、管理会社の明細、空室期間を一つの封筒へまとめます。
敷地に小規模宅地等の特例を使えるかは、取得者や利用状況、申告などの要件を別に確認します。順番と要件は、小規模宅地等の特例を自宅・貸付・事業用に分けた記事も参考にしてください。
「賃貸中だから自動的にこの割合」と決めず、相続開始日の契約と入居状況を確認してください。
自分で止めたいのは共有・借地権・賃貸・特例が重なるとき
一般的な自宅マンションでも資料は多いですが、夫婦共有、親子共有、敷地が借地権、複数戸をまとめて賃貸、相続開始前後に空室、法人へ貸しているなどの事情が重なると、評価の分岐が増えます。
さらに、小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減、債務控除まで含めると、評価額と最終的な相続税額は同じではありません。基礎控除を超えるか、申告が必要か、誰が取得するかも一緒に検討します。
専門家へ相談すると「全部任せることになる」と身構える方もいますよね。私は、計算を完成させてから行くのではなく、分からない箇所に付箋を貼って相談する方がよいと思います。資料がそろっていなくても、次に取る書類を確認できます。
- 共有持分や借地権がある
- 賃貸割合や空室の扱いが判断できない
- 区分所有補正率の入力値が資料で確定しない
- 小規模宅地等の特例と取得者を比べたい
- 申告期限までの時間が少ない
相続後に誰も住まず、管理が難しくなりそうなら、税額だけでなく維持費や売却も話します。親の家を空き家にしないための確認順と同じく、「相続する人」だけでなく「管理する人」も決めておくと安心です。
相談時には、評価額だけでなく申告期限も伝えます。相続税の申告と納付は、通常、相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。資料が足りないからと待ち続けず、期限から逆算して「今ある資料」を早めに見てもらいましょう。
まとめ:土地・建物・補正・利用・特例の5行へ落とそう

マンションの相続税評価は、土地と建物を分け、2024年以後の区分所有補正率を確認し、相続開始日の利用状況や特例を重ねます。一つの価格を探すより、五つの行へ順番に置く方が見落としを減らせます。
| 5行メモ | 書く内容 |
|---|---|
| 土地 | 敷地利用権、敷地権割合、路線価・倍率 |
| 建物 | 固定資産税評価額、専有面積 |
| 補正 | 築年数、総階数、所在階、敷地持分 |
| 利用 | 自宅、賃貸、空室、事業用 |
| 特例 | 小規模宅地等の特例などの検討状況 |
難しい言葉が続くと、今日は何もできない気持ちになりますよね。私も一気に計算するより、まず課税明細書と登記の場所を確かめます。今日の一歩は、親へ金額を聞くことではなく、マンション関係の書類をどこへ置いているか聞くこと。それで十分です。
土地・建物・補正・利用・特例の五つが一枚に並べば、家族にも税理士にも状況を伝えやすくなります。分からないところを残したまま、一緒に確認を始めていきましょう。