
親の自宅を相続するとき、「小規模宅地等の特例なら80%減らせる」と聞くことがありますよね。土地の評価が高そうな地域ほど、この言葉だけで少し安心したくなります。
私も大きな減額割合を見ると、「これなら相続税はほとんど心配ないのかな」と先に結論を出しそうです。でも、80%減る対象は相続税そのものではなく、条件を満たす土地の評価額です。誰が取得するか、どこに住んでいたか、申告期限までどう暮らすかでも扱いが変わります。
2026年8月4日に国税庁の案内を確認し、自宅土地に使う「特定居住用宅地等」を中心に、330㎡、80%、配偶者、同居親族、別居親族、老人ホーム、遺産分割、申告手続きをまとめました。節税のために家族の暮らしを先に決めず、土地・取得者・今後の生活を分けて考えていきます。
私なら、「特例が使える人」を探す前に、親がどの家で暮らし、誰がその土地を受け取り、相続後にどう使いたいのかを三枚にします。
80%減るのは相続税ではなく対象土地の評価額
小規模宅地等の特例は、相続や遺贈で取得した一定の宅地等について、相続税の課税価格へ入れる価額を減額する制度です。親の自宅の敷地に使う「特定居住用宅地等」なら、要件を満たす部分について330㎡まで、評価額を80%減らせます。
土地の評価額が3,000万円で、その全体が特例の対象になる説明用の例なら、課税価格へ入れる土地の価額は600万円になります。ただし、建物の評価額や預貯金、有価証券などが同じように80%減るわけではありません。土地が330㎡を超える場合は、限度面積を超える部分も残ります。
「80%減」と聞くと、税額が8割安くなるように感じますよね。私も割引表示を見る感覚で受け取りそうです。でも、減るのは計算途中の土地評価です。相続税額は、ほかの財産、債務、基礎控除、相続人、取得割合、別の特例などを合わせて決まります。
「相続税が80%減る」のではありません。条件を満たす自宅土地のうち、原則330㎡までの評価額が80%減ります。
| 数字 | 意味 | 含まれないもの |
|---|---|---|
| 330㎡ | 特定居住用宅地等の限度面積 | 超える土地部分 |
| 80% | 対象土地部分の評価減割合 | 相続税額そのものの減額割合 |
| 申告期限 | 居住・保有・分割などの判定時点に関係 | 相続登記だけの期限ではない |
配偶者・同居親族・別居親族で条件が違う

被相続人が住んでいた自宅の土地では、誰が取得するかで要件が分かれます。大きく見ると、配偶者、同じ建物に住んでいた親族、それ以外の一定の親族です。同じ「子ども」でも、同居か別居か、持ち家や過去の居住状況はどうかで入口が変わります。
配偶者には、取得者ごとの居住・保有の追加要件がありません。同居親族は、原則として相続開始直前から申告期限までその建物に住み、土地を申告期限まで保有する条件があります。別居親族、いわゆる「家なき子」に当たり得る人は、配偶者や同居相続人の有無、過去3年の居住先、今住む家の過去所有、申告期限までの保有など、複数条件をすべて確かめます。
家族なら誰が受け取っても同じだと思いたくなりますよね。正直、私も税金だけを見ると、最も有利そうな人へ自宅を渡せばよいと考えそうです。でも、親の家を誰が持つかは、その後の管理、固定資産税、修繕、売却、きょうだいとの公平感まで続きます。
| 取得者の例 | 主に見ること | 暮らしの確認 |
|---|---|---|
| 配偶者 | 取得する土地と申告手続 | その後どこで暮らすか |
| 同居親族 | 同居実態、申告期限までの居住・保有 | 同居継続と家の維持 |
| 一定の別居親族 | 配偶者・同居相続人、過去3年の居住、所有歴、保有 | 取得後の管理と売却時期 |
同居親族は申告期限までの居住と保有を見る
親と同じ建物に住んでいた親族が自宅土地を取得する場合、相続開始直前から相続税の申告期限まで引き続きその建物に居住し、土地も相続開始から申告期限まで保有することが基本です。住民票だけでなく、生活の本拠としての同居実態が問われます。
相続が始まった直後に転居や売却を考えている場合は、申告期限までの条件に触れないか先に確かめます。仕事、子どもの通学、介護、持ち家のローンなど、50代の子世帯には税金以外の事情もあります。特例のために無理な同居を始め、家族全体がしんどくなるのは避けたいです。
「住民票を移しておけばいいのかな」と考える方もいますよね。私も制度の線引きを知るほど、形だけ先に整えたくなります。でも、親との同居は毎日の暮らしです。節税のための住所変更ではなく、本当にどこで生活していたか、相続後もどう住むかを正直に並べます。
特例を使うためだけの形だけの同居や住所変更で判断しないようにします。
親の家を相続した後に住む人がいない、管理が難しいという悩みは、税金だけでは終わりません。親の実家を空き家にしないための確認順も合わせて見ると、取得後の維持費や売却の話までつなげやすくなります。
家なき子は「持ち家がない」だけでは足りない
別居していた親族でも、一定条件をすべて満たせば、特定居住用宅地等として扱える場合があります。よく「家なき子特例」と呼ばれますが、単に自分名義の家を持っていないだけでは足りません。
国税庁の案内では、被相続人に配偶者がいないこと、相続開始直前に自宅へ住む相続人がいないこと、相続開始前3年以内に本人・配偶者・三親等内の親族・特別な関係の法人が所有する家へ住んでいないこと、相続開始時に住む家を過去に所有していないこと、申告期限まで土地を保有することなどが挙げられています。国外居住等の条件もあります。
条件を一つずつ読むと、「賃貸暮らしだから大丈夫」とも言い切れないことが分かり、不安になりますよね。私も情報を集めすぎると、自分に関係しない条件まで全部当てはまる気がします。別居親族の判定は、自分だけで丸を付けず、家族図と過去の住まい一覧を税理士へ見せたいです。
- 亡くなった人に配偶者がいたか
- 自宅に同居していた相続人がいたか
- 取得者が直前3年間に住んだ家の所有者は誰か
- 相続開始時に住む家を過去に所有していないか
- 申告期限まで土地を保有できるか
- ほかの国籍・居住条件が絡まないか
制度に合わせるために家を配偶者や親族へ移したり、名義だけ変えたりする方法を探すのはおすすめできません。過去の居住・所有実態まで見られるため、先に動くほど家族の選択肢を狭めることがあります。
老人ホーム・二世帯住宅・マンションは個別事情を分ける
親が亡くなる直前に老人ホームへ入っていたら、自宅はもう居住用ではないのか。ここは介護中の家庭ほど気になります。国税庁は、要介護・要支援認定などを受け、一定の老人ホームや介護施設へ入所していた場合について、一定条件のもとで以前の自宅土地を居住用に含める扱いを示しています。
ただし、施設の種類、認定、入所後の自宅利用が関わります。親が住まなくなった後に自宅を貸したり、新たに別の人の居住用へ使ったりした場合は、扱いが変わり得ます。「施設へ入ったから対象外」「空き家のままなら必ず対象」と決めません。
介護だけでも大変な時期に、家の使い方と税金まで同時に考えるのは重いですよね。私も親の安全を決める場面で、将来の節税を一番にしたくありません。まず本人に合う住まいを選び、認定書、入所契約、自宅の利用履歴を残します。
自宅を誰も使っていない期間も、開始日と終了日をメモします。郵便物の転送、電気・水道の利用、家財の保管、親族の宿泊、賃貸募集の有無など、実際の使い方が分かる資料を残しておくと相談しやすいです。施設名だけを伝えるより、認定と入所日、自宅のその後を一緒に示します。
「空き家の期間まで覚えていない」と困りますよね。私も介護の最中なら、家の記録まで手が回らないと思います。完璧な日記でなくて大丈夫です。契約書、請求書、家族のカレンダーを集め、分かる月から線を引けば十分な手がかりになります。
二世帯住宅は、建物の構造や区分所有登記、誰がどこへ住んでいたかで確認事項が増えます。マンションも建物だけでなく敷地権に対応する土地部分があり、条件を満たせば対象になり得ます。親の自宅が一戸建てではないから、最初から除外する必要はありません。
親の介護費と住まいの選択を一緒に考える方は、親の介護費を子世帯の家計へそのまま混ぜない考え方も参考にしてください。税金より先に、親の生活を守るお金を分けておくと話しやすくなります。
80%減の計算例でも税額が80%減るとは限らない

数字の違いを、説明用の単純例で確かめます。自宅の土地評価額が3,000万円、面積は200㎡で、全体が特定居住用宅地等の要件を満たすと仮定します。限度面積330㎡以内なので、土地評価は3,000万円から80%減り、600万円として相続税の課税価格へ入ります。
ここに建物評価1,000万円、預貯金2,000万円があれば、特例前の単純合計は6,000万円、特例後は3,600万円です。減ったのは土地の2,400万円であり、建物と預貯金はそのままです。実際には債務、葬式費用、贈与財産の加算、ほかの特例なども関係します。
例を見ると、自宅も同じように計算したくなりますよね。私も数字が一つ出ると、それをわが家の答えにしたくなります。でも、土地の評価方法自体が路線価や倍率、形状、利用状況で変わります。面積と固定資産税評価額だけで完成させません。
| 説明用の財産 | 特例前 | 特例後 |
|---|---|---|
| 自宅土地 | 3,000万円 | 600万円 |
| 自宅建物 | 1,000万円 | 1,000万円 |
| 預貯金 | 2,000万円 | 2,000万円 |
| 単純合計 | 6,000万円 | 3,600万円 |
固定資産税の明細にある金額へ、そのまま80%を掛けて相続税額を決めないようにします。
遺産分割と相続税申告を期限から逆算する
小規模宅地等の特例を受けるには、相続税申告書へ適用する旨を書き、計算明細書や遺産分割協議書の写しなど一定書類を添付します。対象候補の宅地等を取得した相続人等が複数いる場合は、どの宅地へ特例を使うか全員が同意し、原則として申告期限までに分割されていることも求められます。
申告期限まで未分割でも、所定の書類を出し、申告期限後3年以内に分割して分割日の翌日から4か月以内に更正の請求をするなど、一定条件で後から適用できる場合があります。3年を超えるやむを得ない事情には、税務署長の承認手続も関わります。
期限があると、「特例を逃さないために早く決めよう」と家族を急がせたくなりますよね。正直、私は税金の締切だけで親の家を誰が持つか決めるのは怖いです。まず、申告期限、未分割の場合の提出物、話し合いの論点を分け、税理士へ早めに相談します。
- 死亡日と相続税の申告期限を書く
- 自宅土地の所在地、面積、利用状況をまとめる
- 取得候補者ごとの居住・所有・保有予定を書く
- ほかの対象宅地と特例候補を並べる
- 未分割の場合の申告書類を税理士へ聞く
- 家族の合意と税務手続きを別々に進捗管理する
税額が0円になりそうでも、この特例を使うために相続税申告が要る場合があります。
親の財産全体がまだ見えていないなら、親の財産の所在を金額より先に確認する記事の順番が役立ちます。自宅土地だけで安心せず、預金、保険、借入、共有不動産も一覧へ入れます。
まとめ:土地・取得者・暮らしの3枚を作ろう
小規模宅地等の特例を調べると、特定居住用宅地等、同居親族、家なき子、330㎡、80%と専門用語が続きます。「結局、親の家は対象なの」と疲れた方もいますよね。私も条件表を読み続けるほど、暮らしより丸印の数が気になりそうです。
今日作るのは、税額の完成表ではありません。一枚目に土地の所在地、面積、所有者、利用状況。二枚目に取得候補者、同居状況、過去の住まい、持ち家、申告期限までの保有予定。三枚目に、親の入所歴、自宅の貸付・空き家期間、相続後の管理・居住・売却希望を書きます。
「空欄が多いと相談できない」と思いますよね。私も完成していない資料を見せるのは気が引けます。でも、分からない欄があるからこそ、税理士へ聞く順番が見えます。登記事項証明書、固定資産税明細、住民票だけで決めず、家族の実際の暮らしを伝えます。
80%という数字だけで同居や取得者を決めなくて大丈夫です。まず三枚を作り、税務上の条件と家族の希望を別々に確認してください。親の家をどう残すかを落ち着いて話せる状態になれば、今日は十分前へ進んでいます。