
定年後も今の会社で働けると分かると、少しほっとしますよね。ところが、再雇用の給与を見た瞬間、「同じように働くのに、こんなに下がるのか」と戸惑う方もいると思います。私も、教育費や住宅費が残る50代なので、月給が数万円下がるだけでも家計への影響が気になります。
そんなときに知っておきたいのが、高年齢雇用継続給付です。ただし、「賃金の10%がもらえる」とだけ覚えると、実際の条件や手取りとの差を見落とします。10%は上限であり、給料が下がった全員へ一律に支給されるわけではありません。
この記事では、2026年7月30日時点の厚生労働省・ハローワークの案内を基に、対象条件、金額の具体例、申請期限を整理します。制度の数字を家計へ戻し、再雇用を受けるかどうかを考える順番まで一緒に見ていきます。
私が大事にしたいのは、給付を一番多くもらえる働き方ではなく、60歳から65歳まで家族と無理なく暮らせる働き方です。 数字を知るのは、その選択を落ち着いてするためだと思っています。
高年齢雇用継続給付は2025年4月から最大10%
高年齢雇用継続給付は、60歳以降も雇用保険に入りながら働き、60歳時点より賃金が大きく下がった人を支える制度です。2025年4月1日以後に60歳へ到達するなどして受給資格を満たす人は、各月に支払われた賃金の10%を上限に給付されます。
以前は最大15%だったため、古い記事や会社の資料には15%と書かれている場合があります。2025年3月31日以前に受給資格を満たした人は経過的に最大15%ですが、これから60歳を迎える50代の多くは最大10%の仕組みで考えることになります。
私は古い15%の数字を見つけたとき、「こちらで計算してよいのでは」と都合よく考えそうになりました。情報が違うと迷いますよね。自分が60歳に到達する日と、受給資格を満たす日を基準に確認します。
私は最初、「10%なら月給20万円で2万円」と単純に考えました。でも、実際には賃金の低下率によって支給率が変わります。新しい制度では、60歳時点の賃金に対して64%以下まで下がった場合が10%で、64%を超えて75%未満なら10%より低い率です。75%以上なら支給されません。
| 60歳時点からの低下率 | 2025年4月以後の支給 |
|---|---|
| 64%以下 | 各月賃金の10%相当 |
| 64%超75%未満 | 低下率に応じて10%未満 |
| 75%以上 | 支給なし |
「最大10%」は、再雇用で減った収入の10%ではなく、支給対象月の賃金に掛ける上限率です。 言葉が似ているので迷いますよね。会社から提示された月給だけでなく、60歳到達時の賃金月額も確認したいところです。
制度があることは心強い一方で、給料の下がり幅を全部埋めるものではありません。私は「10%も増える」と喜ぶ前に、現役時代から毎月いくら減るのかを家計簿へ書こうと思います。
対象は60歳以上65歳未満・雇用保険5年以上など
高年齢雇用継続給付には、「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」の2種類があります。会社を辞めずに継続して働く人などは基本給付金、基本手当を受けた後に60歳以降で再就職する人は再就職給付金が中心です。
基本給付金の主な条件は、60歳以上65歳未満の一般被保険者であること、雇用保険の被保険者だった期間が5年以上あること、支給対象月の賃金が60歳到達時の賃金月額の75%未満であることです。さらに、その月の初日から末日まで被保険者であること、支給限度額や最低限度額の条件もあります。
「定年後に働けば対象」と思っていた方には、少し条件が多く感じますよね。私も制度名から、再雇用なら自動的にもらえるような印象を持っていました。実際は、雇用保険に入らない短時間の働き方や、賃金が75%以上に保たれる場合などは対象外です。
- 60歳以降も雇用保険の一般被保険者として働くか
- 被保険者だった期間が通算5年以上あるか
- 60歳時点と再雇用後の賃金月額はいくらか
- 会社を辞めずに続けるのか、基本手当を受けて再就職するのか
- 65歳までの雇用契約と勤務時間はどうなるか
高年齢再就職給付金では、基本手当の支給残日数が100日以上あること、1年を超えて雇用される見込みがあること、同じ就職で再就職手当を受けていないことなど、追加の条件があります。退職してから考えればよいと思うと、選べる給付が変わることもあるのです。
再雇用、退職後の基本手当、再就職は、順番によって使える制度が変わります。退職届を出す前に会社とハローワークへ確認してください。 私も大きな決断ほど一人で結論を急ぎがちなので、ここは相談を先にしたいです。
60歳以降の働き方全体を比べたい方は、60歳以降も働くときの選択肢も参考にしてください。制度の対象になるかだけでなく、働く日数や家族時間を並べると見え方が変わります。
月30万円から下がったときの給付額を比べる

ここでは、厚生労働省のQ&Aにある「60歳到達時の賃金月額が30万円」の例を見ます。支給対象月の賃金が26万円なら低下率は約86.7%で、75%未満ではないため支給されません。20万円なら低下率66.67%で給付は14,540円、18万円なら低下率60%で給付は18,000円です。
| 60歳時の賃金月額 | 再雇用後の月賃金 | 低下率 | 給付例 | 賃金+給付 |
|---|---|---|---|---|
| 30万円 | 26万円 | 約86.7% | 0円 | 26万円 |
| 30万円 | 20万円 | 66.67% | 14,540円 | 214,540円 |
| 30万円 | 18万円 | 60% | 18,000円 | 198,000円 |
表にすると、給付があっても現役時の30万円へ戻るわけではないことが分かります。18万円のケースは給付を足して19万8,000円ですから、現役時との差は月10万2,000円です。私はこの差を見たとき、給付額より生活費の組み直しが先だと感じました。
60歳到達時の賃金月額は、原則として60歳になる前6か月の総支給額を基に計算し、賞与は含みません。再雇用後の賃金には、基本給だけでなく支給対象月に実際に支払われた手当などが関係し、欠勤や本人都合で賃金が下がった場合は「みなし賃金」が加わることもあります。
また、支給限度額や最低限度額、60歳到達時賃金月額の上限・下限は毎年8月1日に変わります。2026年7月30日時点では、2025年8月1日から適用された支給限度額386,922円、最低限度額2,411円ですが、2026年8月以降に申請する場合は新しい額を確認してください。
会社の試算は「再雇用後の給与」「給付見込額」「現役時との差」の3行で受け取り、税・社会保険料を引く前の数字だと分かるようにします。 口頭で聞くだけだと、あとでどの金額だったか分からなくなりますよね。
生活費との差を考えるときは、50代から老後の生活費を見える化する方法も合わせて見ると整理しやすいです。給付を増やす工夫より、毎月必要な額を知る方が先です。
給付を足しても現役時代の手取りには戻らない
高年齢雇用継続給付は非課税です。この点は助かりますが、先ほどの「賃金+給付」は手取りではありません。再雇用後の給与からは健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税、住民税などが差し引かれます。
私は「月21万円くらい入る」と聞くと、そのまま使える金額だと思ってしまいそうです。でも、給付の14,540円は非課税でも、20万円の給与側には控除があります。住民税は前年所得を基にするため、再雇用の初年度は給与が下がっても負担感がすぐには下がらない場合があります。
さらに、老齢厚生年金を受けながら働く人は、在職老齢年金に加え、高年齢雇用継続給付との調整で年金の一部が支給停止になる場合があります。年齢、生年月日、受給する年金、標準報酬月額で扱いが変わるため、給付と年金を別々に満額で足さないことが大切です。
| 家計へ入れる項目 | 確認先 | 注意点 |
|---|---|---|
| 再雇用後の給与 | 勤務先 | 基本給だけでなく手当・賞与・控除も確認 |
| 高年齢雇用継続給付 | 勤務先・ハローワーク | 最大10%を一律で入れない |
| 公的年金 | 年金事務所 | 在職・給付との支給調整を確認 |
| 税・社会保険料 | 給与試算・自治体 | 前年所得による住民税も見込む |
「制度が複雑すぎて、結局いくらか分からない」と感じますよね。私も一度に正確な手取りを出そうとすると止まってしまいます。最初は会社へ再雇用後の給与試算、ハローワークへ給付見込、年金事務所へ年金調整を別々に聞き、最後に一枚へ集めれば十分です。
給付の10%を収入増として先に使わず、再雇用初年度の税・保険料が確認できるまでは家計の余白として残します。 教育費や修繕費が重なる50代ほど、少し慎重なくらいが安心ではないでしょうか。
申請は原則2か月ごと、初回期限を会社へ確認する
給付は、条件を満たせば自動的に振り込まれるものではありません。申請は原則として2か月に一度で、通常は事業主が行います。本人が希望すれば自分で申請することもできますが、まず会社の人事・労務担当へ手続きの流れを確認するのが現実的です。
初回の支給申請は、最初に支給を受けようとする支給対象月の初日から4か月以内です。2回目以降は、ハローワークが指定する申請月に行います。会社が手続きすると思い込んだまま期限を過ぎるのは避けたいですよね。
私は会社任せにすると、安心して期限を忘れそうで不安に感じます。そこで、担当者へ聞いた日と初回期限を自分の予定表にも入れます。任せることと、確認しないことは別だと思っています。
- 定年・再雇用の条件通知を受け取る
- 60歳到達時賃金月額と再雇用後の月賃金を確認する
- 雇用保険の被保険者期間が5年以上あるか確認する
- 会社が受給資格確認と初回申請を行うか聞く
- 初回期限と、その後の2か月ごとの申請担当を予定表へ入れる
- 支給決定通知と実際の振込額を家計表へ反映する
私なら人事へ、「給付の対象になりそうか」「会社が申請するか」「初回はいつか」「給与試算に給付を含めているか」の4点をメールで聞きます。忙しい担当者へ長い質問をするのは気が引けますが、箇条書きなら双方で確認しやすいと思います。
再雇用後に欠勤、休業、手当の変更があると、支給対象月の賃金やみなし賃金に影響する場合があります。毎月同じ額が65歳まで続くと決めつけず、最初の支給決定通知を見てから家計の数字を直します。
手続きが苦手でも、必要なのは制度を全部暗記することではありません。「誰が、いつ、何を出すか」が分かれば進められますよね。私は期限だけ先にカレンダーへ入れ、細かな書類は会社と確認しながらそろえるつもりです。
私は給付額より「5年間を無理なく働けるか」で決める

高年齢雇用継続給付を調べると、どうしても「いくらもらえるか」に目が向きます。私も月1万8,000円と聞けば、ないより助かると思います。ただ、60歳から65歳までの5年間で考えると、仕事内容、勤務日数、通勤時間、体力、家族の予定も同じくらい大切です。
たとえば月給18万円で給付1万8,000円の仕事と、月給20万円で給付14,540円の仕事を比べても、差は給与と給付だけではありません。週5日で責任が重いのか、週4日で通院や親の用事へ対応しやすいのか。昼食代や通勤費、自分で使える時間まで入れると、家族にとってよい選択が変わります。
| 比べる項目 | 会社へ聞くこと | 家族で話すこと |
|---|---|---|
| お金 | 給与、賞与、給付見込、退職金への影響 | 毎月の不足額と貯蓄から補う上限 |
| 時間 | 勤務日数、残業、通勤、休暇 | 家事、親、子ども、自分の時間 |
| 体力 | 業務量、配置、在宅勤務 | 健康維持と無理が出たときの線引き |
| その先 | 契約更新、65歳以降、退職時期 | 年金開始と資産取り崩しの時期 |
私は収入が下がると、「もっと働かなければ」と焦ります。けれど、疲れて途中で辞めてしまえば、家計も予定もさらに変わります。少し給付が少なくても、無理なく続けられる条件を選ぶ方が、結果として資産を守れることもありますよね。
再雇用後の不足額が見えたら、すぐ投資額を増やすのではなく、現金で何か月つなげるかも確認します。50代の生活防衛資金を考える記事では、教育費や老後資金と分けて持つ考え方をまとめています。
ここまで一度に決めるのは大変ですよね。私も数字が増えるほど迷うので、まずは毎月の不足額だけを家族へ見せます。その次に、時間と体力の条件を話せば十分です。
最後に、私なら次の順番で動きます。会社から再雇用条件を書面でもらう。高年齢雇用継続給付の見込額を確認する。税・社会保険料を引いた手取りを仮置きする。家族と月の不足額、働く時間、65歳以降を話す。そして、体力に無理があるときの見直し時期を決めます。
給付は、下がった賃金への助けです。でも、私たちの5年間を決める主役ではありません。 「10%もらえるから受ける」ではなく、「この働き方なら家計も体も続けられそう」と家族で言える条件を選びたいです。
まずは今日、会社の再雇用資料を一枚出し、60歳時の賃金、再雇用後の給与、給付見込の3つを横に書いてみませんか。正確な答えがまだなくても、分からない欄が見えれば、次に会社やハローワークへ聞くことが決まります。