定年前の働き方

60歳以降も働くならどうする?50代の私が再雇用・転職・副業を家計とセットで考える理由

2026年7月23日

60歳以降の働き方を家計表と一緒に考える50代夫婦のイメージ

50代になると、「60歳以降も働くのか」という話が、だんだん他人事ではなくなります。

昔なら、定年で仕事を終えて年金生活というイメージが強かったかもしれません。でも今は、60歳で完全に仕事をやめる家庭ばかりではありません。

再雇用で働く。別の会社に移る。短時間で働く。副業を続ける。年金までの間を何かでつなぐ。

選択肢があるようで、実際には「どれが自分の家計に合うのか」が分かりにくいです。

私は、60歳以降の働き方は、気合いで決めない方がいいと思っています。まだ働けるから働く、収入が不安だからとにかく働く、という決め方だけだと、体力や家族時間が置き去りになりやすいからです。

60歳以降の働き方は、生活費の不足をどこまで働いて補うのか、家計から逆算して考える。
この順番が、50代のうちに必要だと思います。

60歳以降の働き方は、気合いではなく家計から逆算する

まず見たいのは、「何歳まで働くか」ではなく、「何のために働くか」です。

生活費を補うためなのか。
住宅ローンを終えるためなのか。
教育費の最後を支えるためなのか。
老後資金を取り崩す時期を遅らせるためなのか。
社会とのつながりを残すためなのか。

目的が違えば、必要な働き方も違います。

月30万円必要なのか、月10万円でいいのか。フルタイムが必要なのか、週3日で足りるのか。今の会社で続ける方がいいのか、負担を下げた仕事へ移る方がいいのか。

ここを分けずに考えると、「とにかく働き続けないと不安」という気持ちだけが大きくなります。

不安を小さくするには、家計の穴を見える化することです。

65歳までの雇用確保と70歳までの就業機会をざっくり知る

60歳以降の働き方を考えるなら、制度の全体像も少しだけ見ておきたいです。

厚生労働省の情報では、高年齢者雇用について、65歳までの雇用機会の確保や、70歳までの就業機会の確保が扱われています。

ただし、ここで注意したいのは、「誰でも希望どおりに70歳まで同じ条件で働ける」という意味ではないことです。

会社ごとに制度は違います。再雇用なのか、定年延長なのか、勤務延長なのか。仕事内容や賃金、勤務日数も変わる可能性があります。

だから、制度の言葉だけを見て安心するのではなく、自分の勤務先ではどうなっているかを確認する必要があります。

確認したいこと見るポイント
定年年齢何歳で一度区切りになるか
再雇用制度希望すれば働けるのか、条件は何か
仕事内容今と同じか、役割が変わるか
賃金どれくらい下がる可能性があるか
勤務日数フルタイムか、短時間勤務が選べるか

50代のうちにここを見ておくと、60歳が近づいてから慌てずに済みます。

制度は地図です。でも、実際に歩く道は勤務先と家庭の事情で変わります。

再雇用は安心感があるが、条件確認が大事

60歳以降の選択肢として、まず考えやすいのは再雇用です。

同じ会社やグループで働けるなら、仕事内容や人間関係を大きく変えずに済む安心感があります。新しい環境へ飛び込む負担も少ないです。

一方で、再雇用は条件確認が大事です。

賃金がどう変わるのか。仕事内容は変わるのか。責任の範囲はどうなるのか。勤務日数や時間は選べるのか。副業はできるのか。

ここは会社ごとに違います。

厚生労働省は高年齢者雇用対策として、定年引上げや継続雇用制度、高年齢者の就業機会に関する情報を出しています。ただし、自分の会社でどうなるかは、会社の制度を確認しないと分かりません。

50代のうちに、社内制度を見ておく。先輩の再雇用後の働き方を聞いておく。収入が下がるなら、家計にどれくらい影響が出るか試算しておく。

これだけでも、60歳が近づいたときの焦りはかなり減ります。

転職や短時間勤務は、収入より負担とのバランスを見る

60歳以降の働き方の選択肢を比較する図
60歳以降の働き方は、収入と負担をセットで見る。

再雇用以外にも、転職や短時間勤務という選択肢があります。

ただ、50代後半から60代の仕事選びでは、収入だけでなく負担も見たいです。

働き方良い点注意点
再雇用環境変化が少ない収入や役割が変わる可能性
転職条件を選び直せる新しい環境の負担がある
短時間勤務体力と時間を守りやすい収入は下がりやすい
副業・小さな仕事自分のペースを作りやすい収入が安定するまで時間がかかる

若いころなら、多少きつくても収入を優先できたかもしれません。

でも60歳以降は、体調を崩すと家計にも響きます。無理をして働いて、医療費や家族の負担が増えるなら、何のために働いているのか分からなくなります。

だから、収入と負担はセットで見ます。

月5万円多くても、毎日ぐったりする働き方なのか。月5万円少なくても、家族時間や健康を守れる働き方なのか。

どちらが正解かは家庭によります。だからこそ、数字と暮らしの両方で判断したいです。

副業や小さな仕事は、会社依存を下げる準備になる

60歳以降の働き方を考えるなら、50代のうちに小さな副業や仕事を試しておく価値はあります。

いきなり独立しなくていいです。大きく稼がなくてもいいです。

自分の経験を外で使えるか。誰かに喜ばれる形にできるか。月1万円でも会社以外から入る感覚を作れるか。

ここを試しておくと、再雇用の条件が思ったより厳しかったときにも、気持ちの逃げ道になります。

50代から副業を始める記事では、時間、体力、家族、本業ルールを見ながら小さく始める考え方をまとめています。

副業は、60歳以降にいきなり始めるより、50代のうちに試しておく方がハードルは下がります。

収入が下がる前提で、先に家計を試算しておく

60歳以降の働き方を考えるとき、避けて通れないのが収入の変化です。

再雇用でも、転職でも、短時間勤務でも、今と同じ収入が続くとは限りません。

ここを見ないまま「何とかなるだろう」で進むと、実際に収入が下がったときに家計がかなり苦しくなります。

だから、50代のうちに一度、収入が下がった前提の家計を試しておきたいです。

たとえば、手取りが月5万円下がったらどうなるか。月10万円下がったら、どの支出が苦しくなるか。ボーナスがなくなったら、年払い支出や教育費をどう払うか。

表にすると、ぼんやりした不安が少し具体的になります。

試算すること見るポイント
毎月の手取りが減る固定費と生活費を払えるか
ボーナスが減る・なくなる年払い支出を月割りで準備できるか
勤務日数が減る収入と体力のバランスはどうか
教育費が残る何年分を別枠で用意するか
住宅ローンが残る返済期間と退職時期が重ならないか

この試算は、怖い数字を見るためではありません。

早めに見ておけば、固定費を下げる、副業を試す、生活防衛資金を厚くする、住宅ローンの方針を確認するなど、打てる手が増えます。

収入が下がってから慌てるより、下がる前提で家計を一度動かしてみる。50代のうちにできる、大きな準備だと思います。

年金までのつなぎ期間をどう埋めるか考える

60歳以降の働き方で大事なのは、年金までのつなぎ期間です。

年金をいつから受け取るか、いくら見込めるか、働きながら受け取る場合にどうなるかは、個人差があります。細かい判断は、ねんきん定期便やねんきんネット、必要なら専門家への確認が必要です。

ただ、家計としては「年金だけで暮らす前の数年間をどうするか」を考えておく必要があります。

60歳から65歳まで。あるいは、65歳以降も少し働く期間。

この間に、生活費をすべて貯金から出すのか、再雇用収入で補うのか、副業収入も使うのか、投資の取り崩しを始めるのか。

ここが曖昧だと、不安だけが大きくなります。

私は、つなぎ期間のお金を次のように分けて考えると整理しやすいと思います。

つなぎ期間のお金役割
再雇用・給与収入毎月の生活費を補う
副業・小さな仕事収入の不足を少し埋める
生活防衛資金急な出費を受け止める
教育費の別枠子どもの進学費用を守る
投資資産取り崩し開始時期を慎重に決める

全部を働いて埋める必要はありません。全部を貯金で埋める必要もありません。

大事なのは、何で何を払うのかを混ぜないことです。

年金までの期間を見える化すると、「何歳までフルタイムで働かないといけない」と決めつけずに済むかもしれません。週3日でも足りるのか、あと月5万円あればいいのか、ボーナスなしでも回るのか。

数字が見えると、働き方の選択肢も現実的になります。

家族と働き方の希望をすり合わせる

60歳以降の働き方は、自分だけで決めにくいです。

配偶者の働き方、子どもの進学、親の介護、自分の健康。いろいろな事情が重なります。

自分は「少し軽く働きたい」と思っていても、家族は「収入が下がるのが不安」と感じているかもしれません。逆に、自分は「まだフルタイムで頑張る」と思っていても、家族は「体を大事にしてほしい」と思っているかもしれません。

ここは、早めに話しておきたいです。

話す内容は、難しいライフプランでなくてもいいです。

  • 60歳以降もどれくらい働きたいか
  • 収入がどれくらい下がると不安か
  • 家族時間をどれくらい残したいか
  • 親の用事や介護が増えたらどうするか
  • 子どもの教育費はいつまで続くか
  • 夫婦それぞれが避けたい働き方は何か

こういうことを、少しずつ話しておくだけでも違います。

働き方の問題は、お金の問題であり、暮らし方の問題でもあります。だから、家計表だけで決めず、家族の気持ちも入れて考えたいです。

働かない時間も、先に家計へ入れておく

60歳以降の働き方を考えるとき、収入のことばかり見てしまいます。

でも、私は「働かない時間」も先に考えておいた方がいいと思っています。

休む時間、家族と過ごす時間、親の用事に動く時間、病院へ行く時間、自分の体を整える時間。こういう時間を全部あと回しにして働き方を決めると、結局どこかで無理が出ます。

もちろん、家計のために働くことは大事です。収入がなければ不安です。

ただ、60歳以降は、働ける時間をすべて収入に変えるというより、暮らしに必要な時間を残したうえで、どれくらい働けるかを見る方が現実的です。

たとえば、週5日フルタイムなら月20万円、週3日なら月12万円。収入だけ見るとフルタイムがよく見えます。でも、週3日の方が健康や家族の用事に合うなら、足りない8万円を固定費見直しや副業、貯蓄の取り崩しで補う選択もあります。

働かない時間は、怠ける時間ではありません。人生後半の暮らしを壊さないための余白です。

その余白を家計に入れて考えると、「いくら稼ぐか」だけではない働き方が見えてきます。

生活費・教育費・老後資金のどこを働いて補うのか決める

60歳以降に働いて補う家計項目を分ける図
何のために働くのかを分けると、必要な働き方が見えやすい。

60歳以降も働くなら、「何に使う収入か」を決めておくと判断しやすいです。

働いて補うもの考え方
毎月の生活費年金や資産取り崩しまでの不足を埋める
教育費子どもの進学時期が残る家庭は別枠で見る
住宅ローン完済時期と退職時期を合わせて確認する
老後資金取り崩し開始を遅らせる
楽しみ・交際費生活を小さくしすぎないために使う

すべてを働いて補おうとすると、働き方が重くなります。

逆に、どこまでを貯蓄や投資でまかなうのか、どこからを働く収入で補うのかを分けると、必要な収入額が見えます。

生活防衛資金の記事でも書いたように、急な支出に使うお金と、投資や教育費のお金を混ぜないことは大事です。60歳以降の働く収入も、家計のどこを守るためのお金なのか決めておくと迷いにくくなります。

50代のうちに確認しておきたいこと

60歳が近づいてから慌てるより、50代のうちに確認しておきたいことがあります。

  • 勤務先の定年・再雇用制度
  • 60歳以降の収入見込み
  • 住宅ローンや教育費の残り
  • 年金見込み額
  • 生活費の最低ライン
  • 自分の体力と避けたい働き方
  • 副業や小さな仕事に使える経験

全部を一度に完璧にする必要はありません。

でも、今のうちに一つずつ見ておけば、「60歳になったらどうしよう」という不安は少し具体的になります。

スキル棚卸しの記事では、できること、苦にならないこと、感謝されたことを整理する方法を書いています。60歳以降の働き方を選ぶ前に、自分の材料を見ておくのはかなり大切です。

60歳以降も働くかどうかは、家庭によって答えが違います。

働き続けたい人もいれば、できれば少し軽くしたい人もいます。収入が必要な人もいれば、社会とのつながりを残したい人もいます。

だから、誰かの正解をそのまま持ってこなくていいです。

自分の家計では何が不足するのか。どこまで働けば安心なのか。どの働き方なら体と家族時間を守れるのか。

50代のうちにここを考えておくことが、60歳以降の自由度を上げる準備になると思います。

-定年前の働き方