
「リバランスって必要なの?」
FIRE(経済的自立と早期リタイア)を目指す人の中でも、意外と見落とされがちなのがリバランスという運用メンテナンスです。
私自身、最初のころは「年に1回の調整で何が変わるんだろう?」と正直ピンときていませんでした。
でも、運用歴が長くなるにつれて実感したんです。
リバランスをしないと、資産配分は知らぬ間に偏っていく。
結果として、リスクが膨らみ、せっかく積み上げた資産が一瞬で目減りすることだってあるんですよね。
たとえば、株式が好調な年が続くと、最初に決めた配分よりも株式の割合が増えてしまう。
すると暴落が起きたとき、その影響をモロに受けてしまいます。
逆に、値下がりした資産を放置していると、せっかくの“安く仕込むチャンス”を逃すことにも。
「リバランスって難しそう」「忙しくて手が回らない」 そんな声も多く聞きます。
私も子育てや仕事に追われる中で、運用に時間をかけるのは正直キツイと感じる時もありました。
でも、やり方さえ決めてしまえば、あとは淡々とルールに従うだけ。
時間をかけずに、大切な資産を守る“定期点検”ができるようになります。
この記事では、リバランスの基本から、FIREを目指す上でなぜそれが大切なのか、 実際に私がどんなルールで管理しているかまで、リアルな体験を交えて解説していきます。
「FIREの落とし穴にはまりたくない」 そんなあなたにこそ、ぜひ最後まで読んでほしい内容です。
リバランスって何?
「リバランス」という言葉、聞いたことはあるけど、具体的に何をするのか分からない。
そんな方も多いと思います。
ざっくり言うと、資産の比率を元のバランスに戻すことです。
たとえば、あなたが「株式50%、債券50%」で運用を始めたとします。
株が大きく値上がりすれば、放っておくだけで「株式70%、債券30%」みたいに崩れてしまいます。
このズレを修正するのが、リバランスの役割です。
利益が出た資産を一部売って、値下がりしている資産に充て直すことで、バランスを整えます。
「なんでそんな面倒なことするの?」と感じるかもしれません。
でも、ここがポイントなんです。 リバランスをしないと、知らず知らずのうちに“リスク過多”の状態になるんですよね。
私も最初は、リバランスなんて気にせず積立だけしていました。
でもある日、気づいたんです。
「え、株ばっかり増えてない?」と。
そうなってからリスクを減らすのは難しく、慌てて売って後悔した経験もあります。
リバランスとは、「守るための行動」であり、「増やすための戦略」でもあります。
資産形成を長く続けるためには、必ず押さえておきたい考え方なんです。
次章では、リバランスをしないとどうなるのか? そのリスクについて掘り下げていきます。
放置するとどうなる?

リバランスをせずに運用を続けると、一見「順調そう」に見えることがあります。
でもその裏側で、あなたのポートフォリオは確実に偏り始めているんです。
特にFIREを目指す場合、私のように「株式90%、現金10%」という攻めの構成を取っている人は要注意。
株式市場が好調なときはどんどん資産が増え、「このまま放っておいてもいけるかも」と錯覚しがちです。
でも、実際はその増えた分だけリスクも増している状態。
いざ暴落が来たとき、現金余力がないとリスクを取ることも守ることもできなくなるんです。
私自身、過去に大きな下落局面で「ここが買い時だ」と思ったのに、現金がなくて指をくわえて見ているだけだった経験があります。
これは本当に悔しかったです。
さらに怖いのは、バランスの崩れに気づかないまま生活設計をしてしまうこと。
FIREを実現した後は「資産を取り崩して生活費を出す」必要があるのに、偏った配分のままでは継続的な取り崩しが不安定になります。
例えば、以下のようなバランス崩れが典型です:
初期の資産配分 | 市場好調後の配分 |
---|---|
株式 60% | 株式 80% |
債券 30% | 債券 15% |
現金 10% | 現金 5% |
たった数年放置するだけで、ここまで極端に変わってしまうこともあります。
もちろん、完全に放置しても結果オーライなときもあるでしょう。
でもそれは「たまたま運が良かっただけ」です。
大切なのは「再現性」と「安定性」。 そのためには、資産配分がどれだけズレているかを定期的にチェックし、元の形に戻すことが必要なんです。
次章では、このリバランスの基準となる「資産配分の基本ルール」について詳しく見ていきます。
資産配分の基本ルール
リバランスの前提として、まず大切なのが「自分に合った資産配分」を決めておくことです。
資産配分とは、株や債券、現金などにどのくらいの割合で投資するかという「お金の配置計画」のこと。
この配分がリバランスの基準になります。
私の場合は、株式90%(うちインデックス50%、高配当ETF・投資信託が40%)、現金10%という構成にしています。
これは、FIREを目指す上で成長性と分配金収入の両立を意識した結果です。
とはいえ、万人にこの配分が合うわけではありません。
資産配分を考えるうえで、以下の3つの要素を意識するのが基本です:
ポイント | 解説 |
---|---|
リスク許容度 | 値動きが大きくても耐えられるか?感情的に売らずにいられるか? |
投資の目的 | 資産を大きく増やしたいのか、それとも安定的に守りたいのか? |
投資の期間 | 何年運用を続けるのか?FIRE後の生活設計も踏まえる必要あり |
たとえば「あと3年でFIRE予定、暴落時に心が折れそう」という人が、株式90%の構成だとリスクが高すぎますよね。
一方で、「まだFIREまで10年以上ある。暴落時はチャンスと思える」という人なら、株式の比率を高くしても問題ないかもしれません。
資産配分に“正解”はありません。
ただし、一度決めたらしばらくは維持してみることが大切です。
そのうえで、年に一度は「今の配分がまだ自分に合っているか」を見直す習慣をつけると、ブレずに長期運用を続けられます。
そしてこの資産配分こそが、リバランスの“起点”になります。
だからこそ、最初にしっかりとルールを定めておくことがFIRE達成への第一歩なんです。
次は、「なぜ年1回のリバランスがちょうどいいのか?」について、私の実体験を交えてお話しします。
なぜ年1回がちょうどいい?

「リバランスはどのくらいの頻度でやるのがいいの?」 この疑問は、多くの投資家がぶつかる壁です。
実際、私も最初は悩みました。
でも結論から言うと、年1回が一番ちょうどいいバランスだと実感しています。
私は毎年12月末にリバランスを実施しています。
理由はシンプル。
頻度が多すぎると手間がかかるし、少なすぎると資産配分のズレに気づけないからです。
特に家事や仕事、子育てに追われていると、「投資に使える時間」って限られてますよね。
また、月次や四半期ごとに動くと「短期の値動きに振り回されてしまう」リスクも出てきます。
その点、年1回であれば感情に流されず、冷静な判断がしやすい。
私は12月末に実施していますが、これは単純に「年間の成績が見やすい」タイミングだからです。
ボーナスや年末調整など、家計の動きも大きくなる時期なので、リバランスの判断材料もそろいやすいんですよね。
では、どのくらいズレたらリバランスするべきか? 私の場合は、5%以上のズレが出たら実行というマイルールにしています。
具体例で言うと:
想定比率 | 実際の比率 | 対応 |
---|---|---|
株式 90% | 株式 95% | リバランス実行 |
現金 10% | 現金 5% | リバランス実行 |
こうしたシンプルなルールを決めておくことで、迷わずに動けるのが年1回の大きな利点です。
もちろん、リバランスの頻度に「絶対の正解」はありません。
でも、“手間を最小限に、効果を最大限に”するためには、年1回が非常に現実的な落としどころなんです。
次章では、「では、暴落時はどうすれば?」という視点で、もう少し掘り下げてみましょう。
下落時にどう動くべきか?
相場が下がると、「今こそ買い時だ!」と感じる一方で、実際に動くのはなかなか勇気がいります。
感情が大きく揺れる場面だからこそ、事前のルールづくりが命綱になるんです。
私が採用しているのは、下落幅に応じたリバランスの3段階ルールです。
これは、相場の暴落に冷静に対応するための「自動スイッチ」のようなもの。
具体的には、以下のような行動基準を設定しています:
下落幅 | 対応内容 |
---|---|
-15% | 1回目のリバランスを実施 |
-30% | 2回目のリバランスを実施 |
-45% | 現金をすべて株式に投入 |
このルールのいいところは、迷わないこと。 「怖いから様子見しよう」と先延ばししているうちに、気づけば反発してチャンスを逃す。
そんな失敗を何度も繰り返してきたからこそ、今の仕組みに落ち着きました。
ただし、大事なのは“現金の確保”です。
実は、過去の暴落時に「今がまさに投資チャンスだ!」と思っても、現金が足りずに何もできなかったという悔しい経験があります。
この失敗をきっかけに、最低でも現金10%は確保しておく方針に変えました。
暴落時に慌てないためには、事前に「どこで・どう動くか」を決めておくことが不可欠。
私の場合は、S&P500が最高値からの下落幅を基準にしていますが、 あなた自身の投資スタイルやストレス耐性に合わせて、もう少し保守的な設定でもいいと思います。
大事なのは、その時になって慌てないように、自分で「想定」を持っておくこと。
次の章では、あなた自身の状況に応じて“どのくらいの頻度で見直すべきか”を一緒に考えていきます。
自分に合う頻度を見極める

リバランスの「正解の頻度」は、人によって違います。
だからこそ、“自分にとっての最適”を見つけることが大事なんです。
私自身は、年1回(12月末)+暴落時に追加対応というスタイルで運用しています。
この頻度に落ち着いた理由は2つあります。
ひとつは、年末は損出しのタイミングとしても適していること。
損出しとは、含み損が出ている資産を一度売却し、税金面で有利にするためのテクニックですが、リバランスと組み合わせると一石二鳥です。
もうひとつは、暴落後は急反発することが多いからこそ、機械的にリバランスしておくと精神的にもラクになる点です。
過去には「怖いな…」と尻込みしたことで、上昇をただ見ているだけだった苦い経験もあります。
このスタイルは、私にとって“ルール通りにやることで余計な感情を排除できる”仕組みになっています。
では、どうやって「自分に合う頻度」を見つけるか? 以下のような問いかけをしてみてください:
- 年に何回なら運用の見直しができそうか?
- 相場が大きく動いたとき、どこまで放っておけるか?
- 感情で動くより、ルール通りに動けたほうがラクか?
これらをベースに考えれば、無理のない運用スタイルが見えてきます。
逆に「毎月チェックしてるけど、結局いつも迷って何もしない」なら、年1回のルール型の方が向いているかもしれません。
そして忘れてはいけないのが、ライフステージや資産規模によって、最適な頻度は変わるということです。
私も今は年1回ですが、FIRE後や資産が増えたら見直す可能性もあると考えています。
次章では、忙しい中でも実践できるリバランスの「簡単管理術」を紹介していきます。
忙しくてもできる管理術
「リバランスって面倒くさそう…」 そう感じる方は少なくありません。
特に私のように子育てや本業に追われていると、じっくり資産をチェックする時間なんてなかなか取れないものです。
でも、仕組みさえ作っておけば、忙しくても“年1回の点検”だけで十分。
私が実際にやっている方法をご紹介します。
まず、資産全体の管理にはMoney Forward MEを使っています。
複数の証券口座や銀行口座を一元管理できるので、「今どれくらい資産配分がズレているか」がすぐに見えるんですよね。
アプリを開くだけで、株式、現金、投資信託などの比率が一目瞭然。
とはいえ、正確なリバランスの判断は細かい確認も必要。
そこで、私は年末にExcelで資産一覧を作成しています。
Money Forwardのデータをもとに、実際の資産配分と理想の配分を並べて、5%以上ズレていないかをチェック。
ルールに当てはめて、リバランスを実行するかどうかを判断しています。
このやり方のいいところは、毎月見直す必要がないこと。
年に1回、この作業を1時間もやれば、あとは気持ちよく放置できます。
さらに、証券口座によっては自動でリバランス機能がついているサービスもあります。
完全自動には頼っていませんが、「参考値」として使うには便利です。
「投資に時間をかけすぎたくないけど、しっかり管理したい」 そんな人こそ、ツール×自分ルールの組み合わせで仕組み化するのがおすすめです。
以下は、私が使っている管理スタイルのまとめです:
ツール | 用途 |
---|---|
Money Forward ME | 資産全体の可視化と日常の確認 |
Excel | 年末に細かく比率を分析し判断 |
この2本柱だけで、リバランスは“迷わず、ブレず、手間なく”実行できます。
次章では、「この情報を家族とどう共有すればいいのか?」という視点で、実体験をもとにお話ししていきます。
家族と共有すべきポイント

「リバランスなんて、わざわざ家族と話す必要あるの?」 そう思う方もいるかもしれません。
実は私自身、今もリバランスの判断や実行はすべて独断でやっています。
FIREを目指していても、日々の投資や運用の細かい部分まで家族に話すのはハードルが高いですよね。
特に配偶者が投資に関心が薄かったり、不安を感じやすいタイプだと、逆効果になることもあります。
でも最近になって、「もし自分に何かあったらどうなるんだろう?」と考えるようになりました。
資産の配分や運用方針をまったく知らない状態で、家族が困らないだろうか?と。
そこで、無理のない範囲で“必要なことだけ伝える”共有の仕方が大切だと感じています。
たとえば:
- 年末にリバランスという作業をしていて、資産を安定させる目的がある
- 現在の資産配分のざっくりとした内訳(例:株式90%、現金10%)
- 暴落時には追加で投資するルールがあること
これくらいをメモで残す、LINEで共有しておく、紙で一覧化しておくなど、シンプルな方法でも十分だと思います。
特にFIREを実現した後は、配偶者も資産の取り崩しに関わることになります。
そのときに「なぜ今この投資先を減らしてるの?」「どうして現金を使わないの?」という疑問が出てきたら、事前の情報共有があるかどうかで対応力が変わります。
共有=難しい話を延々とする、ではありません。
「このルールでやってるから安心してね」だけでも立派な共有です。
次章では、いよいよまとめとして、資産を守るための“定期点検”の重要性についてお話しします。
資産を守る定期点検のすすめ
車や家電に「定期点検」があるように、資産運用にも点検のタイミングは必要です。
その役割を果たすのが、まさにリバランスです。
FIREを目指す人にとって、資産の最大化ばかりが注目されがちですが、 本当に重要なのは“減らさない仕組み”をつくること。
そのために、年に1回でもいいからリバランスというメンテナンスを行うことが大切なんです。
私は毎年12月末に、マネーフォワードとExcelを使って資産配分を確認。
5%以上ズレていれば、迷わず元の比率に戻す。
これを続けることで、資産全体のリスクを一定に保ち、安心して運用を継続できるようになりました。
また、暴落時には「感情で動かず、ルール通りに対応する」ことで、精神的にも非常に安定します。
暴落時にリバランスをしたおかげで、その後の反発にしっかり乗れた経験も何度かあります。
これからFIREを目指す人、すでにFIRE後の運用に入っている人に問いたいのは、 「あなたの資産は定期的に点検されているか?」ということです。
もし「なんとなく放置している」「怖くて見ていない」という状態なら、 今こそ、自分に合ったルールを決めて動き出すチャンスです。
リバランスは派手な手法ではありませんが、長期運用を安定させるための土台です。
そしてその土台があるからこそ、FIREというゴールに向かって自信を持って歩めます。
ぜひ、あなた自身の運用スタイルにあったリバランスのルールを作り、 “資産の定期点検”を、無理なく、確実に実行していきましょう。
ここまで読んでくださった方にとって、リバランスが「面倒な作業」ではなく、 資産を守る強力な味方だと感じてもらえたら嬉しいです。